
今後は定期的に「水泳トピックス」をお届けしていけたらなと思ってます。
第1回となる今週は、Fort Lauderdale Open(米フロリダ州)で生まれた100mバタフライの世界記録更新や、Summer McIntoshとKatie Ledeckyの400m自由形での直接対決など、海外の水泳ニュースが特に豊富な一週間でした。
日本のスイマーやマスターズの方々にも参考になりそうな話題を5つピックアップしてご紹介します。
1. Gretchen Walsh、女子100mバタフライ世界記録を54.33に更新
5月2日に行われたFort Lauderdale Open最終日、米国のGretchen Walsh選手が女子100mバタフライで自身の世界記録を更新しました。記録は54.33。これは従来の世界記録(同じくWalsh選手の54.60)を0.27秒更新するもので、彼女が同種目の世界記録を更新するのは通算4回目となります。
SwimSwamの報道によると、女子100mバタフライの歴代上位13本のタイムはすべてWalsh選手のもの。1人の選手が種目の歴代上位を独占するというのは、ちょっと信じられない状況になっていますね。しかも世界選手権が控える夏の本番ではなくシーズン序盤の5月にこのタイムというのも、彼女の調整の異次元ぶりを物語っているように感じます。
出典:SwimSwam(https://swimswam.com/gretchen-walsh-lowers-100-fly-wr-to-54-33-fastest-in-history-by-over-a-second/)/Olympics.com(https://www.olympics.com/en/news/gretchen-walsh-sets-another-world-record-in-100m-butterfly-as-katie-ledeck-leon-marchand-also-win-on-final-night-of-fort-lauderdale-open-2026)
Walsh選手のバタフライを見ていて特徴的だと感じるのは、潜水(水中ドルフィンキック)の伸びと、ストロークの回転数の両立です。日本の選手にとっても、潜水の距離・キック数の見直しは、ベストタイムを縮める上で大きな要素になることが多いですね。マスターズの方も、無理のない範囲で「壁を蹴ってからの潜水を1キック増やす」だけで泳ぎが楽になるケースがあります。「世界のトップが今どこを磨いているか」を知っておくと、自分の練習の意識も少し変わってくるかもしれません。
2. Summer McIntoshがKatie Ledeckyを制し、女子400m自由形で勝利(3:58.91)
同じFort Lauderdale Openの2日目(4月30日)には、女子400m自由形でカナダのSummer McIntosh選手が3:58.91を出し、米国のKatie Ledecky選手(3:59.02)を0.11秒差で制しました。両者のタイムは2026年の年間世界ランキングで1位・2位となる記録です。
McIntosh選手は400m自由形の世界記録(3:54.18)保持者ですが、距離系の絶対王者であるLedecky選手がそこから0.11秒差まで肉薄しているのが本当にすごいですね。シーズン序盤の5月でこの差というのは、夏の本番のレースが今からとても楽しみです。
出典:Olympics.com(https://www.olympics.com/en/news/swimming-summer-mcintosh-katie-ledecky-400m-freestyle-fort-lauderdale-open-2026)/Swimming World Magazine(https://www.swimmingworldmagazine.com/news/summer-mcintosh-edges-katie-ledecky-in-spectacular-400-freestyle-at-fort-lauderdale-open-kate-douglass-doubles/)
距離系自由形を主戦場にする日本の選手・マスターズの方にとって、世界トップ2人のシーズン序盤の仕上がりは、ひとつのベンチマークになると思います。「夏の本番までに、どれくらいの段階で何を仕上げているか」という視点は、自分の調整リズムを考えるヒントになりますね。
マスターズの方が夏の大会に向けて練習量とテーパーを調整していく考え方については、過去の記事「夏大会2〜3週間前「テーパー期」の過ごし方」もよろしければご参照ください。
3. USA Swimming、2026オープンウォーター・パンパシ代表8名を発表(36歳産後復帰のTwichellが代表入り)
USA Swimmingが、8月に開催されるオープンウォーター・パンパシフィック選手権の代表8名(男女各4名)を発表しました。エース格はMariah DeniganとIvan Puskovitchの2人。
注目は、36歳のAshley Twichell選手が、2021年の東京五輪以来となる主要国際大会の代表に復帰したことです。
SwimSwamの報道によれば、Twichell選手は2022年と2025年に2回出産しており、2人目のお子さんの出産から12か月で代表に戻ってきたとのことです。2児の母で36歳のオープンウォーター代表復帰、僕も応援したくなりますね。
出典:SwimSwam(https://swimswam.com/usa-swimming-names-8-to-2026-open-water-pan-pacs-roster/)/USA Swimming公式選考要項(PDF)
出産・育児を経てもう一度本気で泳ぎたい、というスイマーは、マスターズ層を中心に決して少なくありません。
「年齢を理由に競技から離れる必要はない」というメッセージとして、Twichell選手の代表復帰はとても勇気が出る話題だと感じます。
出産後の段階的な復帰は、ご本人の身体の回復状況・育児の負担・気持ちの優先順位など、複合的に考えていく必要があるテーマなので、無理なく自分のペースで進めるのが何よりだと思います。
個別のご相談がある方は、よければプライベートレッスンでもご一緒できます。
4. NCAA、入学前のスイマーが賞金を受け取れるようルール改定
米NCAA(全米大学体育協会)が、集団訴訟の和解にともない、選手が大学入学前に大会で得た賞金を保持できるようにルールを改定したと、SwimSwamやBloomberg Lawが報じています。
これまで競泳を含む非収益スポーツでは、「実費相当」を超える賞金の保持は禁じられていました。NCAAは和解金として202万ドルを支払うとのことです。なお、入学後の規則は変わりません。
出典:SwimSwam(https://swimswam.com/ncaa-revising-rules-to-allow-athletes-to-accept-prize-money-prior-to-enrollment/)/Bloomberg Law(https://news.bloomberglaw.com/antitrust/ncaa-agrees-to-allow-pre-college-players-to-accept-prize-money)
日本のスイマーにとって、直接の影響はあまり大きくないニュースかもしれません。
ただ、将来的に米国の大学進学(NCAA進学)を考えているジュニアスイマーや、その保護者の方にとっては、知っておきたい変化です。NCAAのアマチュア規定は、ここ数年で少しずつ柔軟になってきていますね。海外進学を視野に入れる場合は、競技面の準備だけでなく、こうした制度面の最新情報もフォローしておくと安心です。
成長期のジュニア期に何を優先するかについては、過去の記事「「背が止まる」はもう昔の話。小学生スイマーが陸上トレーニングで手に入れる”一生モノ”の才能とは?」もよろしければご参考ください。
5. Mare Nostrum 2026ツアー、5/23モナコから開幕
欧州のグランプリシリーズ「Mare Nostrum」2026ツアーの日程が公式に発表されています。
地中海沿岸の3都市(モナコ:5/23-24、カネ:5/27-28、バルセロナ:5/30-31)を巡る恒例の大会で、総賞金は€138,600とのこと。
Fort Lauderdale Openを終えた米国トップ勢が欧州に渡って参戦する流れになりそうです。
出典:Mare Nostrum公式(https://marenostrumswimtour.com/schedule)/SwimSwam(https://swimswam.com/mare-nostrum-announces-dates-for-2026-tour/)
Mare Nostrumは屋外プールで行われる大会としても知られていて、夏の本番に向けたヨーロッパ勢の調整レースとして毎年注目されています。
観戦が好きな方は、5/23の開幕からの2週間、各レースの結果や出場メンバーをチェックしてみるのも楽しいですね。
屋外プールでのレースは、室内とは違って太陽・風・水温の影響を受けやすいので、選手の対応力を見るのも面白いポイントだと思います。
屋外プールでの泳ぎ方については、過去の記事「夏の屋外プール解禁前に!初日で気をつけるべき5つのこと」でもまとめていますので、よろしければあわせてご覧ください。
今週のまとめ
5月の第1週は、Fort Lauderdale Openの世界記録(Walsh)・トップ対決(McIntosh vs Ledecky)・オープンウォーター代表発表(Twichell産後復帰)・NCAA制度改定・Mare Nostrum開幕予告と、競技ニュースから制度ニュースまでバランスよく揃った一週間でした。
シーズン序盤からこれだけ動きがあると、夏の世界選手権・各国選手権が今からとても楽しみです。
来週(第2回)は、Mare Nostrum開幕直前の見どころや、5月後半の国際大会日程まわりを中心にお届けする予定です。
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