「生理中の練習がしんどくて、いつものメニューがこなせない」「大事な大会と生理が重なりそう」「男性のコーチには言いにくくて、ひとりで我慢している」——ジュニアの女子スイマー本人や保護者から、こうした悩みをよく聞きます。
月経(生理)は、女子スイマーにとって練習・コンディショニング・大会と切り離せないテーマです。それなのに、相談しづらさや情報の少なさから「我慢する」「気合いで乗り切る」になりがちです。この記事では、本人と保護者に向けて、月経との向き合い方を整理します。
はじめに:この記事は日常の練習やコンディショニングの考え方をまとめたものです。症状や治療の判断は、必ず婦人科医・かかりつけ医に相談してください。無月経・激しい痛み・体重の急減などがある場合は病態としての側面が大きいので、女性アスリートの三主徴もあわせて確認してください。

コーチ、生理中の練習がしんどくて…。でも言いにくくて、いつも我慢しちゃうんです。

我慢しないでほしいんです。月経は「気合いで乗り切る」ものじゃなく、「付き合い方」を考えるもの。つらい日に休むのは、サボりじゃなくて正しい選択肢ですよ。
先に結論
月経は「我慢」でなく「付き合い方」で考える
- 知る:月経周期の4局面で、体調の感じ方が変わることを知る(個人差あり)
- ケア:休む選択肢を正しく持つ/食事・睡眠・鉄分を整える
- 備える:大会と重なる時の考え方や、受診のサインを知っておく
気合いで乗り切るより、体と上手に付き合うほうが、結果につながります。
月経周期の4局面(一般的な傾向)
月経周期は、おおまかに卵胞期・排卵期・黄体期・月経期の4つに分かれ、体調や気分が揺れやすくなります。ただし、これはあくまで一般的な傾向です。同じ周期でも、人により・その日により感じ方は大きく変わります。「自分は当てはまらない」と思う人も多いはず。一般論を当てはめて、自分を責める必要はまったくありません。
- 卵胞期(月経後〜排卵前):体調が安定しやすく、前向きになりやすい。練習の手応えを感じやすい人が多い
- 排卵期(周期の中ごろ):軽い下腹部の張りや痛みを感じる人も。体温がやや上がり始める
- 黄体期(排卵後〜次の月経):体温が高め、むくみや倦怠感、気分の揺れ(PMS)を感じる人も
- 月経期(生理中):下腹部痛・腰痛・頭痛・倦怠感。出血が多い日は貧血ぎみで集中力が落ちることも
練習への向き合い方|休むのも「正しい選択肢」
つらいのに無理して続けると、その日の練習の質が落ちるだけでなく、翌日以降の回復にも影響します。貧血の悪化や故障につながることも。「休むのも練習のうち」は、女子スイマーにとって特に意味の大きい言葉です。
| 体調 | 向き合い方 |
|---|---|
| 軽い違和感程度 | いつもどおり。ウォームアップを少し丁寧に |
| だるさ・重さがある | メイン強度を1段階下げる、本数を減らす、ハードセットだけ抜く |
| 強い痛み・気分が悪い | 迷わず休む、または陸トレ・ストレッチに切り替える |
| 明らかに普段と違う症状 | 練習を休んで、必要なら病院へ |
もちろんチームの方針はさまざまで、コーチの組んだメニューには目的があります。だからこそ「今日はここまでにしてもいいですか」と相談する力と、それを伝えやすい関係が、長く泳ぎ続けるために大切です。
体調記録のすすめ
毎日5秒でいいので、月経の開始日・終了日、体調(◎◯△×で十分)、練習の手応え、気になる症状を記録しましょう。3〜6か月続けると自分のパターンが見えてきます。スマホの月経管理アプリでも構いません。コーチや保護者・婦人科医に相談するときの大事な材料になります。
毎日のコンディショニング
食事は「減らさない」が大原則
女子スイマーで起こりやすいのが、体型を気にしての食事制限です。成長期に食事を減らすと、月経が止まる・骨密度が下がる・貧血が悪化するリスクがあります。主食(炭水化物)を減らさない、タンパク質を毎食しっかり、カルシウム+ビタミンDで骨を作る。食事の基本はジュニアスイマーの栄養アドバイスに詳しくまとめています。
鉄分を意識的に
月経のある女子スイマーは鉄分の損失が多く、貧血ぎみになりやすい傾向があります。鉄が不足すると持久力が落ち、息が上がりやすく、集中力にも影響します。レバー・赤身肉・まぐろ・あさりなどのヘム鉄、ほうれん草・小松菜・大豆製品などの非ヘム鉄(ビタミンCと一緒に)を。顔色が青白い・朝がつらい・練習で息が極端に上がるサインがあれば、無理せず内科や婦人科で血液検査(フェリチン値も)を。
鉄剤・サプリは医師の指導のもとで:鉄剤やサプリは、自己判断ではなく医師の指導のもとで使うのが安心です。摂りすぎも体に負担になります。
水分・睡眠・ウォームアップ
- 水分:プールでは汗の自覚が薄く脱水になりやすい。月経期は特に意識して(水分補給の選び方)
- 睡眠:睡眠不足はホルモンや自律神経に影響し、周期の乱れにつながることも。「眠る選択肢」も大事に
- ウォームアップ:体が重い日は、陸のストレッチと水中Easyを長めに。腰回り・股関節を温める意識で
大会と重なりそうなときの考え方
大会と月経が重なりそう、というのは女子スイマーなら誰もが経験する悩みです。
- 予測する:体調記録やアプリで周期が予測できれば、重なりそうか事前に見える。「分かるだけで不安は半分に」
- 準備する:重なりそうなら早めに保護者や婦人科医に相談。当日グッズ(タンポン・吸水ショーツ・痛み止めなど)を用意
月経移動薬(ピルなど)は、必ず婦人科医と相談を:大会と重なる場合、低用量・中用量ピルで月経日をずらす選択肢があります。トップ選手も使う方法ですが、合う・合わないは人それぞれで、副作用が出ることもあります。この記事で「使うべき」「使わないほうがいい」と一方的に勧めることはしません。必ず婦人科を受診し、本人・保護者・医師の相談のうえで判断してください。
また、「月経=記録が出ない」と思い込みすぎると、それ自体がパフォーマンスを下げることがあります。実際、月経期にベストを出した選手はたくさんいます。「今日のコンディションでやれることをやる」と目の前の1本に集中しましょう。月経時のタイムも記録しておくと、「自分は月経時はだいたい○秒落ちる」と分かり、レース後の振り返りが冷静になります。
保護者・コーチとのコミュニケーション
月経のことは、本人が一番話しづらいテーマです。だからこそ、周囲の大人が「言いやすい空気」を先に作っておくことが大切です。
- 本人へ:症状まで言わなくても「体調が悪いので今日は軽めに」でOK。言いにくければ女性スタッフ・保護者・養護教諭を経由しても
- 保護者へ:責めずに「今、体しんどい時期?」と一声。必要なら「今週は軽めに」とコーチや学校へ一言。かかりつけの婦人科を一緒に探しておくと安心
- 男性コーチ・保護者へ:詳細を聞き出す必要はない。「体調が悪い日はいつでも申告していいよ」と日頃から伝えるだけで、選手のハードルが下がる
まとめ
- 月経は「我慢」でなく「付き合い方」。休むのも正しい選択肢
- 周期の傾向は一般論。自分のパターンを記録で知り、その日の体調で調整
- 食事は減らさない・鉄分・水分・睡眠を整える
- 大会と重なる時は早めに準備・相談。ピルは必ず婦人科医と
- 周囲の大人が「言いやすい空気」を作る



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