
コーチ、私、ターンのたびに勢いが消えちゃうんです。直線では悪くないペースなのに、壁を蹴ったあとが妙に重くて…。100mや200mの後半で脚色が落ちるのも、これが原因な気がして。

その感覚、よく分かるよ。ターンの一つひとつで失っているスピードが積み重なってるんだ。僕も現役の頃よく感じてた。

やっぱり、もっと強く蹴ればいいんでしょうか?

実はそこが落とし穴なんだ。ターンを「速くしよう」と意識するほど、なぜか余計に失速する。多くのスイマーを見てきた経験から言うと、ターンが速くなる人はほとんどの場合「速く」じゃなく「無駄をなくす」方向で意識を変えてるんだよ。

今日はタッチターンとクイックターン両方に共通する「無駄をなくす」3つの意識を整理して伝えるね。
まず結論|ターンは「強く蹴る」より「無駄をなくす」

まず結論からいくね。ターンの失速をなくすための意識は、次の3つだよ👇
- 壁に入る前の減速をなくす → 最後の一かきまで泳ぎ切る
- 蹴り出し直後の姿勢を磨く → 頭・手・体幹のストリームライン
- 浮き上がりの一打目を遅らせる → 惰性スピードと泳ぎが合う瞬間まで一拍待つ
ターンは足し算より引き算。「無駄をなくす」方向が一番速くなります。

足し算ではなく引き算なんですね…!

そう。じゃあ、ひとつずつ詳しく見ていこうか。
ターンで失速する人の共通点|壁を「強く蹴る」発想の罠

ターンで失速するっていう相談を受けると、ほとんどの方が「壁をもっと強く蹴ればいい」という発想に行き着くんだ。バネのように蹴り出せば速くなるイメージが直感的に強いからね。

まさに私もそう思っていました。

でも実際にターンの動画を撮って一緒に見ると、失速してる方ほど「強く蹴ること」自体は十分できてることが多いんだ。問題はそこじゃなく、その前後で起きてるんだよ。

壁を強く蹴る意識が強すぎると、壁の手前で減速したり、蹴り出し直後に体が水中で開いたり、浮き上がりで一打目を急いだり…。どれも「速くしよう」という気持ちが先行して起きる、力みが原因の現象なんだ。

だから考え方を「強く蹴る」から「壁の前後で速度を落とさない」に置き換えるだけで、結果的にターン全体が速くなる人は本当に多いよ。これから紹介する3つは、タッチ・クイック両方に共通する考え方だから、自分の泳ぎに当てはめながら読んでみてね。
意識その1|壁に入る前の減速をなくす

ひとつ目は、壁に「入る前」のことだよ。意外かもしれないけど、ターン全体のロスの多くは、壁を蹴る瞬間じゃなく、その手前の数メートルで生まれてるんだ。

クイックターンだと、5mフラッグが見えたあたりから無意識に減速する人がとても多い。「ぶつからないように」という気持ちで、最後の1〜2かきが小さくなったり、テンポが落ちたり。本人は気づかないけど、動画で速度を比較すると明らかに壁の前で失速してることがあるんだ。

タッチターンも同じだよ。平泳ぎ・バタフライで壁にタッチする直前、手を伸ばすために体が浮き上がったり、最後のひとかきを「届かせるため」に小さくしたり。これも本来出せるスピードを自分から落としてるパターンなんだ。

言われてみると、私も壁が近づくと無意識にゆるめている気がします…。

だから意識したいのは「壁の最後の一かきまで、いつも通りに泳ぎ切る」こと。最後の一かきこそ、ためらわず掻き切る。最後のキックも打ち切る。壁との距離感は練習で体に覚えさせるものだから、頭で調整するんじゃなく、繰り返しの中で自然な距離感を作っていくんだよ。

距離感がつかみにくい人は、自分の泳ぎを真上や水中から撮影して見てみるのも一つの方法だよ。フラッグから何かきで壁に着くか、ターン直前の数秒で速度がどう変化してるか。見える化すると改善点がはっきりすることが多いんだ。撮影機材については、僕も使ってる水中アクションカメラの記事(GoPro買いました!)も参考になるかもしれないよ。

まずは壁の前で減速しない、ですね。意識してみます。

それだけでターン全体の流れは大きく変わるよ。蹴り出しのスピードも、その前にどれだけ速度を保ててるかで決まる部分が大きいからね。ターン直前の動画確認用に、水中アクションカメラの代表的な選択肢を価格帯・特徴別に3つ紹介するね。

スマホを防水ケースに入れて使う方法でも代用できるから、最初は手元のもので試すのもひとつの選択肢だよ。続けたいと感じたら、専用機を検討してみてね。
意識その2|蹴り出しからの姿勢が鍵

ふたつ目は、蹴り出した直後の姿勢だよ。ここが、ターンで失速する人ともっとも差がつく部分かもしれない。

壁を強く蹴っても、その瞬間の体の形が崩れていれば、せっかくのスピードはあっという間に水の抵抗で削られるんだ。逆に言えば、ストリームラインの精度が高ければ、蹴り出しの強さがそこまでなくても結果的に速い距離を進めるんだよ。

姿勢でそんなに変わるんですね。

水中で体が受ける抵抗は、進行方向から見た「面積」と「形」で決まるんだ。少しでも体が開いていれば、その分だけ抵抗が増える。水の抵抗の仕組みを一度押さえておくと、なぜストリームラインがここまで重要なのか感覚で納得できるようになるよ。

ターン直後にチェックしたいポイントは3つあるよ。①頭の位置:両腕で耳をしっかり挟むように、頭を腕の中に収める。あごを軽く引き、目線は真下のプール底へ。頭が上を向いてたり腕から飛び出してると、それだけで抵抗が大きくなるんだ。

②両手の重ね方:片手をもう片方の手の甲に重ね、指先まで伸ばす。手が組まれてなかったり指が開いてると、水を受ける面積が増えてスピードが落ちる。③体幹を細く保つ:背中・お腹・お尻にかけて、体の前後を薄くするイメージで力を入れる。ここがゆるむと、蹴り出しエネルギーが無駄な揺れで消費されちゃうんだ。

頭・手・体幹、全部がチェックポイントなんですね。

ストリームラインは「壁を蹴る前から作っておく」のがコツだよ。蹴ってから組もうとすると一瞬遅れて、その一瞬で抵抗を受けてしまう。壁に手をつく直前、回転に入る前から頭の位置と手の形を作っておくと、蹴り出しの瞬間にはもう完成された姿勢で水中に入れるんだ。

蹴り出しのスピードを上げるよりも、姿勢を磨くほうが長期的には大きな伸びにつながるよ。ストリームラインは派手じゃないけど、ターン改善で一番投資対効果が高いポイントだと思ってる。
意識その3|浮き上がりの一打目を遅らせる勇気

みっつ目は、ここがいちばん難しいかもしれない。浮き上がりの一打目、つまり最初のストロークやキックを「我慢する」という考え方だよ。

多くの人は、ターンのあと水中に入った瞬間からできるだけ早く泳ぎ始めようとする。失速したくない、止まりたくない、という焦りからすぐ腕を回したくなるんだ。でもここで急ぐと、せっかく壁から得たスピードを自分から打ち消してしまうことが多いんだよ。

あ…私、絶対すぐ腕を回しています。

壁を蹴った直後、体は水中でかなり速い速度で進んでるんだ。この時点で腕を回し始めると、進んでる速度より遅いスピードで腕を動かすことになって、水を後ろに押すどころか自分にブレーキをかけてしまうんだよ。

意識したいのは「自分の泳ぎのスピードと、ターンの惰性スピードが一致する瞬間まで一打目を待つ」こと。蹴って潜行して、惰性で進む間にスピードが少しずつ落ちてくる。落ちてきたところで最初のストロークやキックでもう一段加速する。このタイミングが合うと、ターンから次の泳ぎへの流れが驚くほどスムーズになるよ。

水中ドルフィンキックの考え方は、水中ドルフィンキックの記事でも触れてるから、合わせて読んでみてね。

「一打目を遅らせる」って、確かに勇気がいりそうですね…。

最初は本当に怖く感じるよ。何もしてない時間が長く感じて、本能的に泳ぎ始めたくなる。けど、ここで一拍待てる方が、結果的にターンから次の25mへの流れがきれいになるんだ。

練習では、25mを泳いで壁にタッチしたら、わざと「3秒間は何もしない」くらい極端な意識でやってみるのも手だよ。やりすぎると止まりすぎるけど、感覚を一度極端に振ってから戻すほうが、自分にとっての「ちょうどいい間」を見つけやすくなるんだ。

ちなみに、クイックターンで鼻に水が入る人や、ターンで目が回る人は、この「一拍待つ」ことが体の負担になってる可能性もあるよ。鼻から水が入る人のための記事や、クイックターンで目が回る記事に対処法をまとめてあるから、症状が気になる人はそちらも参考にしてね。
3つの意識をつなげると、ターンは「無駄なく速くなる」

ここまでの3つの意識を、もう一度まとめておくね。

ひとつ目は、壁に入る前の減速をなくすこと。最後の一かきまで泳ぎ切って、壁の手前で勝手にスピードを落とさない。ふたつ目は、蹴り出した直後の姿勢を磨くこと。頭・手・体幹のストリームラインを丁寧に作って、抵抗で速度が削られないようにする。みっつ目は、浮き上がりの一打目を遅らせる勇気を持つこと。惰性のスピードと自分の泳ぎが合う瞬間まで、一拍待ってから動き出す。

3つに共通してるのは、どれも「強く速く動く」んじゃなく「無駄を取り除く」という発想だよ。ターンを速くしたい時、つい新しい動きを足したくなるけど、実際は足し算より引き算のほうが効果が出やすい場面が多いんだ。

種目によっても優先順位は変わりますか?

変わるよ。タッチターンを使う平泳ぎ・バタフライでは、壁に近づく時のひとかきの設計がより大切だし、クイックターンを使うクロール・背泳ぎでは、回転中の頭の位置で水を含まないかが重要になる。だから今回の3つは「種目を超えて土台になる考え方」と捉えてもらえるとちょうどいいよ。土台がしっかりしてれば、その上に種目固有のテクニックを積み上げてもぐらつかずに伸びるんだ。

ターンの改善は地味で時間のかかる作業だよ。一回の練習で劇的に変わることはなかなかない。けど、意識を持って一本ずつ向き合えば、3か月・半年というスパンで明らかに変わってくる。タイムが0.5秒・1秒変わるだけで、レース後半の景色は大きく違って見えるはずだよ。

まずは「壁の前で減速しない」から試してみます!

うん、そのシンプルな一点からでいいんだ。それだけでもターン後の25mが少し楽に泳げる感覚が出てくるかもしれないよ。
個別の相談が必要な方へ
「自分のターンを動画で見てもらいたい」
「タッチターン・クイックターンのフォームを直接見てアドバイスがほしい」
「大会前にターンの仕上げを一緒に確認してほしい」
そんな方は、プライベートレッスンもお受けしています。お一人ひとりの目標・体力・環境に合わせて、一緒に練習を組み立てていきます。
ご興味のある方は、こちらのページからご予約ください。



コメント