バタフライの始まりは、平泳ぎをもっと速く泳ぐために腕を水上から戻したことでした。そこへドルフィンキックが加わり、現在の形へ育っていきました。
今のバタフライが「両腕を同時に回し、両脚をそろえて蹴る」理由は、この歴史をたどるとすっきり理解できます。
先に3つだけ
腕とキックは別々に生まれ、あとから一つになった
- 1930年代:平泳ぎの腕を水上から戻す泳ぎ方が広がる
- 1935年ごろ:両脚をそろえるドルフィン型のキックが試される
- 1953年:バタフライが平泳ぎから分かれ、独立した泳法になる
| 年 | 出来事 | 現在につながる部分 |
|---|---|---|
| 1920〜30年代 | 平泳ぎで腕を水上から戻す選手が登場 | 水上リカバリー |
| 1933年 | Henry Myersがレースで水上リカバリーを使用 | バタフライ型の腕が広がる |
| 1935年 | ArmbrusterとSiegがドルフィン型を実演 | 両脚をそろえるキック |
| 1949年 | 従来の平泳ぎとバタフライ型を区別 | 独立までの移行期 |
| 1953年 | 平泳ぎから完全に分離 | 第4の泳法として成立 |
| 1956年 | メルボルン五輪で初実施 | 独立種目として五輪へ |
始まりは「平泳ぎの腕を水上から戻す」工夫
当時の平泳ぎは、かいた腕を水中で前へ戻していました。ところが、水の中で腕を前へ動かすと大きな抵抗を受けます。そこで選手たちは、腕を水の上から前へ戻す方法を試し始めました。
1933年、Henry Myersがレースの全距離でこの水上リカバリーを使い、1930年代半ばには「バタフライ・ブレストストローク」と呼ばれる泳ぎ方が広がります。腕は今のバタフライに近くても、脚はまだ平泳ぎのキックでした。
ここが今の泳ぎにつながる
腕を水上から戻す目的は、派手に大きく回すことではなく、前へ戻すときの水の抵抗を減らすことです。
ドルフィンキックは腕とは別に生まれた
アイオワ大学のコーチDavid Armbrusterと選手Jack Siegは、両脚をそろえて上下へ動かすキックを研究し、1935年にドルフィン型の動きを実演しました。現在のバタフライを形づくる、もう一つの大きな発見です。
ただし、当時は平泳ぎのルールで脚を上下へ動かせませんでした。水上から戻す腕とドルフィン型のキックは、同じ時期に試されながら、すぐには一つの泳法としてレースで使えなかったのです。
1949〜1953年|平泳ぎから少しずつ独立
腕を水上から戻す選手が増えると、従来の平泳ぎと同じ種目で競うことが難しくなりました。1948年ロンドン五輪の男子200m平泳ぎ決勝では、全選手がバタフライ型の腕を使ったと記録されています。
1949年には従来型とバタフライ型を分けて記録する移行期に入り、1953年、バタフライは平泳ぎから完全に分離されました。ここで水上リカバリーとドルフィンキックが結びつき、第4の泳法として歩み始めます。
平泳ぎ側から見た流れは、平泳ぎの歴史でも紹介しています。
1956年|バタフライがオリンピックへ
独立から3年後の1956年メルボルン五輪で、バタフライが初めて行われました。実施種目は男子200mと女子100m。男子はWilliam Yorzyk、女子はShelley Mannが初代王者です。
1968年メキシコシティ大会では男子100mと女子200mも加わり、現在と同じ男女100m・200mの組み合わせがそろいました。
現在の「1ストローク2キック」はどう定着した?
現在は、腕を前へ入れるころに1回、かき終わりにもう1回という、1ストローク2キックがよく使われます。最初のキックは姿勢と入水をつなぎ、次のキックは腕の押しとリカバリーを助ける役割があります。
大切なのは「必ず強く2回蹴る」ことではなく、腕・胸・腰・脚が一つのリズムでつながることです。キックだけを大きくすると上下動が増えるため、まず小さな動きでタイミングを合わせます。
初心者の練習順
- けのび姿勢で小さなドルフィンキック
- 片手バタフライで呼吸と体の流れを確認
- 両手のバタフライを数ストロークだけつなぐ
最初から25mを力で泳ぎ切るより、動きを分けて覚えるほうがリズムを作りやすくなります。
水中ドルフィンキックと15mルール
スタートとターンの後は、壁を蹴った速さを生かすために水中ドルフィンキックを使います。現在の国際ルールでは、スタートと各ターン後15mまでに頭が水面を破る必要があります。
浮き上がる位置は、キックの回数だけで決めません。壁を蹴った速さが残っているうちに水面の泳ぎへつなげられる位置を、5m・10m・15mの通過タイムで比べると見つけやすくなります。
水中練習では:長い息止めや過換気を行わず、必ず指導者や監視員がいる環境で練習してください。
現在のバタフライの主なルール
| 動作 | 主なルール |
|---|---|
| 腕 | 両腕を水上で同時に前へ戻し、水中で同時に後ろへ動かす |
| 脚 | 両脚を同時に上下させる。交互のキックは使わない |
| 水中 | スタート・各ターン後15mまでに頭が水面を破る |
| ターン・ゴール | 左右の手を離した状態で同時に壁へ触れる |
15mやタッチを含む競泳ルール全体の変化は、競泳ルールの進化史で詳しく読めます。
歴史を知るとバタフライが泳ぎやすくなる
- 腕を水上から戻すのは、前へ戻すときの抵抗を減らすため
- ドルフィンキックは、腕とは別に生まれて後から組み合わされた
- 腕・体幹・脚を一つのリズムにつなげると、力任せになりにくい
- 初心者はキック、片手、数ストロークの順に分けて練習する
- ターンとゴールは両手同時タッチ、水中は15mまで
バタフライで上下動が大きくなる方は、水の抵抗を減らす考え方も合わせて読むと、姿勢を整えるポイントがつかみやすくなります。



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