
コーチ、練習で追い込むと『乳酸が溜まったー』ってよく言いますよね。あれって疲労の原因なんですよね?

うん、そのイメージを持ってる人は多いね。でも実は、それ誤解なんだ。

えっ、違うんですか?

実は乳酸は、運動で重要な役割を果たすエネルギー源でもあるんだよ。
『乳酸=疲労の原因』『乳酸が溜まると筋肉痛になる』。この二つは、今でも根強く誤解されている代表格です。今日は乳酸の正しい知識を科学的な視点から整理して、競技力アップに役立てる方法まで見ていきます。
まず結論|乳酸は疲労物質ではなくエネルギー源
タクミさんは早く先を知りたがるタイプ。まず押さえてほしい要点は、この3つです。
- 乳酸は疲労・筋肉痛の原因ではなくエネルギー源
- うまく使えば持久力・パフォーマンスがUPする
- 乳酸閾値を高めるトレが鍵
乳酸は敵じゃない。うまく使えば持久力が上がる。

敵だと思ってました…。むしろ味方なんですね。じゃあ早速、鍛え方から教えてください!

待って待って、そこはタクミさんらしいね。順番に理解しないと空回りするよ。まず乳酸が何者かからいこう。
1. そもそも乳酸って何?
乳酸(Lactic Acid)は、体内でエネルギーを作り出す過程で生まれる物質です。運動中にエネルギーが急に必要になると、グルコースが解糖系という経路で分解され、その過程で乳酸が生じます。

どういうときに乳酸が出やすいんですか?

体には有酸素と無酸素、2つのエネルギー供給系があるんだ。でも、きっぱり切り替わるわけじゃないんだよ。
有酸素運動は酸素を使って効率よくエネルギーを作り、持久力向上に貢献します。強度が上がって酸素が行きわたりにくくなると、短時間でエネルギーを生む経路の働きが大きくなるとされます。ただし乳酸は酸素が足りているときも常につくられていて、運動の強さと時間に応じて、作られ方が連続的に移っていくと考えられています。

そしてここが大事。乳酸は単なる副産物じゃなくて、体内でエネルギー源として再利用されるんだよ。
2. 乳酸をめぐる二大誤解
タクミさんが飛びつきそうな『溜まると疲れる』『翌日の筋肉痛の原因』。この2つ、どちらも科学的には否定されています。
| よくある思い込み | 実際のところ |
|---|---|
| 乳酸が溜まる=疲れる | 乳酸はむしろエネルギー供給や回復に寄与する |
| 翌日の筋肉痛は乳酸のせい | 原因は筋繊維の微細な損傷(DOMS)。乳酸は無関係 |

じゃあ『乳酸が溜まると疲れる』っていうのは…?

かつてはそう考えられてたけど、誤解なんだ。現代の研究では、乳酸はむしろ回復にも役立つとされてるよ。
生まれた乳酸の多くは、筋肉・心臓・脳などでそのまま酸化されてエネルギーとして使われると考えられています(乳酸シャトル)。さらに一部は肝臓でグルコースに作り直され、再び使われるとされます(コリ回路)。

じゃあ翌日の筋肉痛も乳酸のせいじゃないんですか?

違うんだ。運動後の筋肉痛(遅発性筋肉痛=DOMS)は、乳酸じゃなくて筋繊維の微細な損傷が原因だよ。
乳酸は運動後数時間以内に代謝されてしまうため、翌日以降の筋肉痛とは無関係というわけです。
3. 乳酸が体に及ぼすプラスの効果
乳酸は、筋肉・心臓・脳などの主要なエネルギー供給源として活用されます。うまく使われると疲労を遅らせ、持久力を向上させることができます。
さらに、高強度運動で乳酸が多く生成される状況は、体の乳酸処理能力を鍛えます。効率よく再利用できるようになると、持久力や運動効率が上がっていきます。

溜まる=悪いことじゃなくて、処理する力が鍛えられてるってことなんですね!

そう、そこが本質。溜まる場面はむしろチャンスなんだよ。
4. 乳酸と運動強度|乳酸閾値(LT)
ここで大事な言葉が乳酸閾値(LT: Lactate Threshold)。運動中に乳酸が急激に増え始めるポイントのことです。
| 強度 | 乳酸の動き |
|---|---|
| 有酸素運動 | 乳酸が速やかに代謝され、蓄積しない |
| 無酸素運動 | 乳酸の生成が代謝を上回り、蓄積が始まる |

蓄積するとどうなるんですか?

筋肉内の酸性度が増して、パフォーマンスが下がるんだ。でも代謝する力を高めれば、より高い強度を維持できるようになるよ。
つまり乳酸閾値を超える強度では乳酸が急激に溜まりますが、逆に言えば乳酸閾値を上げることで、より高い強度で長く運動できるようになるということです。
5. 乳酸を味方につける3つの方法

待ってました! じゃあその『処理する力』、どう鍛えればいいんですか?

大きく3つあるよ。焦らず一つずつ見ていこう。
| 方法 | ねらい |
|---|---|
| 持久力トレーニング | 長時間の有酸素運動で乳酸処理能力を強化。閾値付近の運動で乳酸耐性UP |
| インターバル | 高強度と休息を交互に。例=全力1分泳ぎ→1分休憩を繰り返し、閾値を高める |
| アクティブリカバリー | 運動後の軽い運動で血中乳酸が落ちるスピードが速まるとされる |

インターバル、いきなり全力で本数増やしたら早く伸びますよね?

そこが落とし穴。飛ばしすぎると無理して痛めるだけだよ。まずは決めた本数を丁寧にね。
3つ目のアクティブリカバリーは少し補足を。運動後に軽いウォーキングや軽いスイムを行うと血中乳酸は速く落ちるとされますが、翌日の疲労回復や筋肉痛をやわらげる効果は限定的とも言われ、個人差もあります。主な意味は、心拍を段階的に落として、同じ日にもう一度泳ぐための準備になることだと考えてください。目安は高強度運動後にRPE 3〜4の軽い運動を10〜20分ほどです。

クールダウンってただの惰性かと思ってましたけど、ちゃんと意味があったんですね。

そう。急いで切り上げたくなる気持ちは分かるけど、次に活きる大事な時間なんだよ。
6. よくある質問
一時的な乳酸蓄積は体に害を与えません。むしろ適度な蓄積は、トレーニング効果を高める要因になります。

自分の乳酸閾値って、測れるものなんですか?

乳酸閾値テストがあるよ。専門施設で心拍数や血中乳酸濃度を測って確認できるんだ。
まとめ|乳酸を味方につける
- 乳酸は疲労や筋肉痛の原因ではなく、エネルギー供給やトレ効果を高める重要な物質
- うまく利用すれば持久力向上や競技パフォーマンスの改善につながる
- 乳酸閾値を高めるトレ(持久力トレ・インターバル)を取り入れるのが鍵
乳酸を正しく理解して活用すれば、競技力も持久力も伸びていく。

焦らず一つずつ理解してきたね。この積み重ねが一番の近道だよ。

なるほど。もう『乳酸=敵』とは思いません。味方につけて持久力を伸ばしていきます!
運動強度についてもっと詳しく知りたいときは、こちらの記事も参考にしてみてください。



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