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夏大会で速くなる練習の取り組み方5原則|コーチが組んだメニューを最大限自分の力にするためにマスターズ&中高生スイマーへ

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「夏大会で速くなりたいけれど、毎日のチーム練習をどんな気持ちで受け止めればいいんだろう?」

5月のこの時期、レッスンや個別相談でマスターズスイマーや中高生スイマーの方からよく聞かれる質問です。

スイミングクラブやマスターズチームに所属していると、メニューを組むのはコーチで、自分はそれを実施する立場という方がほとんどだと思います。それでも同じ練習をしているのに、伸びる人と伸び悩む人がいるのはなぜでしょうか。

その違いは、もしかしたら練習メニューそのものではなく、練習に取り組むときの「考え方」にあるのかもしれません。

この記事では、僕が現役で泳いできた経験と、多くのスイマーを見てきた経験から、夏大会で速くなりたい方に知っておいてほしい5つの考え方を紹介します。これからの2〜3ヶ月の練習が、少しでも違って見えるきっかけになれば嬉しいです。


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今は「土台作り」の時期です

競泳のシーズンは、ざっくりこんな流れで進みます。

  1. 基礎期(秋〜冬):4泳法をバランスよく回す
  2. 量的ハード期(冬〜春・5〜6月の試合前まで):距離と本数で土台を作る ← 今ここ
  3. 質的ハード期(試合の1〜2ヶ月前):スピードと耐乳酸に絞り込む
  4. テーパー期(試合の2〜3週間前):疲労を抜きながら鋭さを残す
  5. 試合期:本番

5月のいまは、夏大会に向けた「土台作り(量的ハード期)」の最終局面と言えます。

この時期、コーチが組むメニューにハードな量メニューが多くなるのは、ちゃんとした理由があります。後の質的ハード期でスピードを上乗せするための「土台」を、今のうちに作っておく必要があるからです。

「もうそろそろスピード練習に切り替えたい」と感じる方も多いかもしれませんが、土台がないままスピードに走ると伸び悩みやすくなります。今は焦らず土台を作る時期と知っているだけで、ハードな練習の捉え方が変わってきます。


考え方① ハードな量メニューは「体の貯金」を作る投資です

量的ハード期にコーチが多くの距離・本数を出すのは、「持久力・スピード持久力・耐乳酸・タフさ」の4要素を総合的に積み上げるためです。

要素意味今の時期に作る理由
持久力長く泳ぎ続ける力スピードを乗せる土台
スピード持久力速いペースを長く維持する力レース中盤を支える
耐乳酸乳酸が溜まっても動き続ける力後半の追い込みを可能にする
タフさ練習を続けられる精神的・身体的余裕シーズン全体を支える

これらは一朝一夕には身につきません。だからこそ、夏大会の2〜3ヶ月前から計画的に積み上げる必要があります。

ハードな量メニューを「いやいや消化する」のと「夏大会のための投資」と思って取り組むのとでは、同じ練習でも吸収できる効果が違ってきます。

「なんで今こんなにキツい量を泳がされているんだろう」と感じたときは、「今、夏大会の体の貯金を作っているんだ」と思い出してみてください。練習の景色が少し違って見えるかもしれません。

なお、練習強度や水泳と筋トレの順番についてもっと知りたい方は、水泳と筋トレ、どっちが先?(泳速アップの順番)もあわせて読むと、強度の捉え方が深まります。

そして、ハードな練習を続ける時期は栄養補給も大切な「投資」のひとつです。練習量が増えると筋分解のリスクも高まるので、普段の食事に加えてプロテインを取り入れるのもひとつの方法です。


考え方② キックの日は思い切り頑張ると、後半に効いてきます

正直なところ、キックの日って結構しんどいですよね。プールサイドで「今日キック…」とテンションが下がる方の気持ち、よく分かります。

でも、夏大会で速くなりたい方には、キックの日こそ思い切って頑張ってほしいと思っています。

理由をシンプルに言うと、脚が疲れると一気に全身に疲労が回るから。レース後半で脚が動かなくなると、姿勢が崩れて体が水中で沈み、結果として腕の推進力も死んでしまいます。

僕の考え方として、推進力のメインはプル(腕)だと位置づけています(クロール・バタフライ・背泳ぎでは推進力の大半を腕が生んでいる)。それでも、キック持久力を軽視すると後半失速の最大要因になるのは間違いありません。

そしてここが重要なのですが、大きな筋肉ほど持久力強化に時間がかかります。脚は人体最大の筋群(大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリングスなど)。腕より圧倒的に大きいぶん、持久力を高めるのに時間がかかるのです。

だから、コーチがキックの日を作ってくれているなら、それは夏大会で後半失速しないための「保険」を作るチャンスです。プル日や他の日に温存するのではなく、出されたキック日にしっかり脚を追い込んでおくと、本番で違いが出てきます。

もちろん無理は禁物です。故障してしまっては本末転倒なので、自分の体調と相談しながら、できる範囲で取り組んでください。

もし自主練でキック持久力を作りたい方は、ビート板を1枚持っておくと便利です。


考え方③ やみくもに全部頑張ると、中途半端になりがちです

練習中、「全部全力でやろう」と意気込んでバテてしまった経験はありませんか?

実は、これは多くのスイマーが通る道です。でも、やみくもに全部頑張ると、結果として全部が中途半端になってしまいます。

そこで意識してほしいのが、「今日のメインは何か」を自分の中で確認すること

コーチが組んだメニューでも、よく見ると「今日はキックの本数が多い」「今日はプルメインで組まれている」など、その日の主役があります。それを自分の中で意識して、メインのセットには全力を出す・補助セットは丁寧に流すというメリハリをつけると、同じメニューでも吸収度が変わってきます。

  • 「今日はキックメインだから、プルは姿勢を意識して丁寧に」
  • 「今日はスイムメインだから、キックは焦らずペースキープで」

こんな風に、自分の中で「今日の優先順位」を持っておくと、ヘバることなく一週間トータルで全部位を鍛えられます。

もし自主練の機会がある方は、自分で1日1メイン主義のメニューを組んでみるのもひとつの方法です(後ほど例を紹介します)。


考え方④ 専門種目だけに固執すると、見えなくなるものがあります

「自由形しか出ないから、IM(個人メドレー)が出された日は手を抜きたい」
「平泳ぎ専門だから、バタフライは正直やりたくない」

こんな気持ち、よく分かります。でも実は、専門外の種目こそ、専門種目を伸ばすヒントが隠れていることが多いんです。

理由を3つ挙げます。

1. 全身に刺激が分散される

専門種目だけ泳いでいると、特定の筋群・関節に負荷が集中します。例えば自由形専門の方は肩への負担が大きく、長期的には水泳肩(スイマーズショルダー)のリスクも上がります。IMで4泳法を混ぜることで、自然と全身に刺激が分散されます。

2. 故障の予防になる

筋肉のアンバランスが故障の最大要因です。プル中心の選手はプルだけ、脚力勝負の平泳ぎ選手は脚だけが偏発達して、結果として故障に繋がりやすくなります。IMは強制的にバランスを整える保険として機能します。

3. 専門種目の改善ヒントが見つかる

意外なことに、専門外の種目で気づいた感覚が、専門種目のタイムを縮めることがあります。バタフライで掴んだ「うねりを使う感覚」をクロールに応用してタイムが伸びた、というケースは何度も見てきました。

IMが出された日を「逃げ場」と捉えるか「発見の機会」と捉えるか。意識ひとつで吸収できるものが変わってきます。


考え方⑤ 同じメニューでも「目的」を考えると違って見えます

練習中、ただメニューを消化するだけになっていませんか?

実は、「今日のセットは何のためにやっているのか」を意識するだけで、練習の質が変わってきます

例えば、同じ「200m×8本」というセットでも、

  • スピード持久力を鍛える目的なら → ペース配分を意識して、後半までタイムを落とさない
  • 耐乳酸を鍛える目的なら → 後半セットほど追い込んで乳酸を溜める意識
  • フォーム強化が目的なら → タイムより1ストロークの効率を意識

こんな風に、目的が分かれば自分の意識のフォーカスが変わります。

もしコーチに余裕があるタイミングなら、勇気を出して「このセットの狙いは何ですか?」と聞いてみるのもおすすめです。意図を理解して取り組む練習と、なんとなくこなす練習では、同じ時間でも吸収できるものが違ってきます。


自主練をするならこんなメニューもおすすめです

マスターズスイマーで、チーム練習に加えて自主練の機会がある方向けに、ここまでの考え方を実装した1週間の例を紹介します。

「こうしなければいけない」というものではなく、もし参考になれば、というスタンスで読んでください。

自主練週3回プラン例

曜日メイン内容例
月 or 火キック中心キック100m×10〜20本+IM軽めスイム
水 or 木プル中心プル200m×4〜6本+ドリル
土 or 日スイム中心レースペース系セット

ポイントは、完全休養日を必ず作ること。「ハードに練習するほど、回復に投資する」が大切です。

練習後30〜60分以内のタンパク質補給と糖質も、夏大会に向けては重要な投資になります。1日のトータル量(体重×約1.6〜2g)を確保することのほうが、「30分以内に必ず」と神経質になるよりも大切です(参考:プロテインのゴールデンタイムはもう古い?)。

水分補給も練習の質を支える土台ですので、水泳時の最適な水分補給もあわせてどうぞ。

強度の高い練習が続く時期は、練習前後のアミノ酸補給を常備しておくと安心です。


中高生スイマーと保護者の方へ

中高生スイマーと保護者の方には、追加で気をつけてほしい点が3つあります。

① 成長期は「やりすぎ」が故障を生みやすい

身長急増期(おおよそ男子13〜15歳・女子11〜13歳)は、骨の成長に筋肉や腱の成長が追いついていない時期です。急に量を増やすと、膝・腰・肩の故障を起こしやすいので、量を増やすペースは慎重に。

② 学校練習+クラブ練習の重複に注意

部活練習とスイミングクラブの両方に通っている場合、知らずに練習量が過剰になっているケースがあります。1日3部練・1週間オフなしのような状態が続くと、長期的には伸び悩みや故障に繋がりやすくなります。

保護者の方は、お子さんの朝の体重・疲労度を週1で記録してみてください。明らかに減少傾向があれば、練習量の見直しを検討するタイミングかもしれません。

③ 「練習の量」より「練習中の集中度」

コーチを信じて練習に取り組むことが基本ですが、「言われたからやる」だけでは伸びにくいのも事実です。「自分のため」「自己ベスト更新のため」と意識を変えるだけで、同じ練習でも質が変わってきます。

保護者の方が子どもに聞くなら、「今日何メートル泳いだ?」より「今日の練習で何を意識した?」のほうが、子どもの成長を促す質問になります。

なお、女子中高生スイマーで月経関連の不調がある方は、女性アスリートの三主徴も参考にしてください。


まとめ:5つの考え方で、練習が違って見えてきます

夏大会まで2〜3ヶ月、今から速くなるために知っておいてほしい5つの考え方をまとめました。

  • 考え方① ハードな量メニューは「体の貯金」を作る投資
  • 考え方② キックの日は思い切り頑張ると後半に効いてくる
  • 考え方③ やみくもに全部頑張ると中途半端になりがち
  • 考え方④ 専門種目だけに固執すると見えなくなるものがある
  • 考え方⑤ 同じメニューでも「目的」を考えると違って見える

メニューそのものを変えなくても、取り組むときの考え方ひとつで、結果は確実に変わってきます

夏大会まで、まずは今週の練習から、5つのうち1つでも意識してみるところから始めてみてください。


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