

コーチ、大会前の調整ってどうすればいいんですか…テーパーって難しくて。夏大会まであと2〜3週間で、練習量がガクっと減ってきたんですけど、なんだか不安で。これで大丈夫なのかなって。😔

話してくれてありがとう。その「練習量が減ると不安になる」感覚はね、マスターズスイマーからこの時期によく聞かれる声なんだ。僕も現役で泳いできたし、たくさんのマスターズスイマーを見てきたけど、これは多くのスイマーが通る道なんだよ。

そうなんですね。頭では「テーパーは必要だ」って分かってるんですけど、いざ量が減ると「弱くなってない?」って焦っちゃって。

シーズンを通して量的ハード期で土台を作って、質的ハード期でスピードを乗せてきた。その最後に来るのが「テーパー期」=試合2〜3週間前の練習量を意図的に落とす期間なんだ。今日は、テーパー期の意味と、自分でできる5つの意識、そしてよくあるNG行動を一緒に整理していこう。夏大会で力を出し切るための2〜3週間にしようね。
まず結論|テーパー期は「減らす不安」と上手に付き合う

まず結論からいくね。テーパー期に押さえてほしい要点は、この3つだよ👇
- テーパー=大会前に練習量を減らして疲労を抜く時期
- 不安はみんな感じる/量より「鋭さ」
- 完全に止めない・低強度は維持・体調管理
練習量が減る不安は、ほぼ全員が通る道です。

「ほぼ全員が通る道」って聞くと、ちょっと安心します。

そう、まずそこを知ってほしかったんだ。ここから、ひとつずつ詳しく見ていこうね。
そもそも「テーパー期」とは?なぜ練習量を減らすのか

テーパー期っていうのは、試合2〜3週間前から本番にかけて、練習量を意図的に落としていく調整期間のことなんだ。シーズン全体の流れで見ると、こんな位置づけになるよ。
- 基礎期(秋〜冬):4泳法をバランスよく回す
- 量的ハード期(冬〜春):距離と本数で土台を作る
- 質的ハード期(試合の1〜2ヶ月前):スピードと耐乳酸に絞り込む
- テーパー期(試合の2〜3週間前):疲労を抜きながら鋭さを残す ← 今ここ
- 試合期:本番

なるほど、テーパー期って一番最後の仕上げの段階なんですね。それで、なんで量を減らすんですか?

理由はシンプルで、「ハード期に蓄積した疲労を抜くため」なんだ。量的ハード期で頑張った分、筋肉や神経系には目に見えない疲労が溜まっている。これを残したまま試合に入ると、せっかく作った土台が眠ったまま本番を迎えることになる。テーパー期はその疲労を抜いて、本番でベスト状態を発揮するための調整期間なんだよ。

だから「練習量が減る=弱くなる」は誤解で、正しくは「練習量を減らすことで、疲労が抜けて本来の力が出せるようになる」。これを最初に押さえておこう。

量を減らすのは弱くなるためじゃなくて、力を出せるようにするためなんですね。

そういうこと。ちなみに量的ハード期の取り組み方については夏大会で速くなる練習の取り組み方5原則もあわせて読んでみて。土台があってこそ、テーパー期が活きるからね。
意識① テーパー期の不安は「みんな感じる」と知る

練習量が減って「これで大会大丈夫?」と感じるのは、ベテランのマスターズスイマーでも変わらないんだ。むしろ、それまで頑張ってきた人ほど、急に練習が減ることに違和感を覚えやすい。

まさにそれです。「今まで毎日泳いでいたのに、急にこんなに楽でいいの?」「焦って自主練を増やしたほうがいいんじゃ…」って思っちゃって。

その気持ちは多くの方が経験する感覚だよ。でも実は、その「楽すぎる感じ」こそ、テーパー期が機能している証拠なんだ。

えっ、楽に感じるのが正解なんですか!?

そう。不安になるのは普通だから、自分を責めないでね。「あ、これ通常運転だな」と受け流して、コーチが組んだ調整メニューを信じて取り組んでみて。
意識② 量より「鋭さ」にフォーカスする時期

テーパー期に入ると、メニューの傾向がガラッと変わるんだ。こんなふうにね。
- 長距離・大量本数 → 短距離・少ない本数
- ハードな量 → 短くて速い動き
- サイクル詰め → サイクル余裕+全力スピード

本数も距離も減るんですね。なんだか手応えがなくなりそうで…。

これは「楽になった」のではなく、「量から鋭さへフォーカスを切り替える」タイミングなんだ。例えば、25m×4本のスプリントが出されたら、本数は少なくてもその4本に全力を出す。50m×6本のレースペース系なら、1本ずつ本気でフォームと感覚を確認する。「速いけど楽に泳ぐ」感覚を取り戻すのが、テーパー期の重要な意識だよ。

なるほど、少ない本数だからこそ1本に集中するんですね。

そういうこと。それと、大会で結果を出したい人は、特にこの時期にゴーグルやスイミングキャップなど大会用の装備をチェックしておくのもおすすめだよ。本番で「ゴーグルが外れる」「曇る」といったトラブルがあると、せっかくの調整が水の泡になっちゃうからね。

飛び込みやターンの衝撃でゴーグルが外れる人には、こちらが定番だよ(僕自身も愛用していて、レッスンで「飛び込みでゴーグルが外れる」と悩んでいた方全員にお勧めしたところ、誰一人として外れなくなった一品なんだ)。
意識③ 練習を完全に止めない・低強度は維持する

テーパー期=練習量を減らす期間なんだけど、「完全に休む期間ではない」ことに注意してね。

えっ、減らすけど休みすぎちゃダメなんですか?

そう。マスターズスイマーで多いパターンが、「テーパー期だから」と練習をすっ飛ばしてしまうこと。これは逆効果になりやすいんだ。数日休んだだけで一気に体力が落ちるわけではないとされるけど、完全に休む日が続くと(目安として2週間前後で)有酸素能力が落ちてくると言われているんだ。だからテーパー期も完全オフにはせず、頻度を保って軽く動いておくのがおすすめだよ。これをデコンディショニング(体力が落ちていくこと)と呼ぶことがあるよ。

せっかく作った体力が落ちちゃうんですね。それは避けたいです。

そこでテーパー期で大切なのは、この4つだよ。
- 練習頻度は維持する(週3〜5回など普段通り)
- 1回の練習量を思い切って減らす(普段の半分前後=おおよそ40〜60%減が目安とされる・減らしすぎ(7割以上カット)や水に入らない日が続くのは逆効果・頻度と速い刺激は残し、コーチのメニューに従うのが安心です・個人差があります)
- 低強度の動きは入れる(身体を「動ける状態」に保つ)
- 短く速い動きを少量入れる(神経系を起こしておく)

「練習頻度は変えない、量と強度配分だけ変える」が原則なんだ。コーチが軽めの練習を入れているのは、まさにこの理屈だよ。
意識④ 体重・睡眠・食事の管理が結果を変える

テーパー期は練習量が減るぶん、体調管理の重要度が一気に上がるんだ。順番に見ていこう。
食事:練習量に合わせて糖質をコントロール

練習量が減ったのに、食事量を変えないと体重が増えやすくなる。逆に減らしすぎると、レース当日にエネルギー切れを起こすんだ。目安はこんな感じだよ。
- テーパー期の主食は普段の80〜90%程度に
- たんぱく質は維持(疲労回復に必要)
- 脂質は普段通り or 少し控えめ
- 大会3日前からは糖質を意識的に増やす(カーボローディング)

なるほど、主食はちょっと減らすけど、たんぱく質はキープなんですね。
睡眠:8時間以上を確保する

疲労を抜くためにいちばん重要なのが睡眠なんだ。練習を減らしても、睡眠が足りないと疲労は抜けない。テーパー期に入ったら、夜更かしを避けて8時間以上の睡眠を確保するように意識してね。

練習を減らしても、寝不足だと意味ないんですね。気をつけます。
体重・体感を朝に記録する

テーパー期は朝の体重と疲労感を毎日記録するのがおすすめだよ。こんな目安で見てみて。
- 体重が急に増えた → 食べすぎ or 水分過剰
- 体重が下がり続ける → エネルギー不足の可能性
- 朝の体感が「重い」 → 睡眠不足 or 疲労未抜け

シンプルな体重計でも構わないけど、体脂肪率や筋肉量も合わせて見たい人には体組成計が便利だよ。
意識⑤ 試合前のメンタルとの付き合い方

テーパー期はメンタル的にも揺れる時期なんだ。例えばこんなふうにね。
- 練習量が減って不安になる
- 本番のタイムを意識しすぎて焦る
- 過去の失敗を思い出してネガティブになる
- 体重や食事に神経質になりすぎる

うっ…ほとんど当てはまります。特に過去の失敗を思い出しちゃって。

これらは多くのスイマーに共通する感覚だよ。完全になくすことは難しいから、「来るもの」として受け流すのがコツなんだ。

おすすめなのが普段のルーティンを大切にすること。練習前のW-up方法、練習後のストレッチ、寝る前のリラックス時間など、いつもやっていることを継続すると、メンタルの揺れが減るよ。「いつも通り」が、本番で力を出すための最大の武器になるんだ。

「いつも通り」が武器、覚えておきます。
マスターズ特有の悩み:仕事との両立で完全テーパーが難しいとき

マスターズスイマーは、現役の競技選手と違って仕事や家庭との両立が大前提だよね。テーパー期だからといって、急に生活リズムを変えるのは難しい。

そうなんです。大会前に出張も残業もあって、理想通りには調整できなくて。

大会前の出張・残業・家族のイベントなど、コントロールできない要素もあるよね。そんな中で、できる範囲で意識してほしいのがこの4つだよ。
- 練習頻度は最低限維持(週3回は確保)
- 忙しい週は本数や距離を思い切って減らしてOK・ただし25mを数本だけでも速い刺激を残すと鋭さが保てるとされる(量は削る・速さは残す)
- 移動・出張時も食事・補食で栄養を切らさず、疲労をためない
- 週末に少しでも余裕があれば自主練(短時間でOK)

完璧なテーパー期を目指すより、「できる範囲で疲労を抜く・動きを保つ」のが現実的なゴールなんだ。マスターズの強みは、長く続けられること。1試合の結果に固執せず、シーズン全体・人生全体で見ていこう。

そう言ってもらえると気が楽になります。できる範囲でやってみます!

その意気だよ。練習前後の補食には、アミノ酸入りのコンディショニング系を常備しておくと安心だよ。

水分補給は試合期間中も含めて重要だから、水泳時の最適な水分補給もあわせてどうぞ。
テーパー期によくあるNG行動3パターン

最後に、テーパー期で結果を落とすNG行動を3つ紹介するね。
NG① 不安に負けて自主練を増やしてしまう

「練習量が減って不安だから、自主練で補おう」 — これがいちばん多いNG行動なんだ。

あー…まさにやろうとしてました。

テーパー期に練習量を勝手に増やすと、せっかく抜けかけた疲労がまた溜まっちゃう。コーチが組んだメニューを信じて、自主練は低強度のドリルや動きの確認程度にとどめよう。
NG② 急に新しいフォームや道具を試す

「最後にもう一段階、フォームを変えれば速くなるかも」と試したくなる時期だけど、テーパー期に新しいことは禁物だよ。

えっ、フォーム改善も今はやらないほうがいいんですか?

そう。新しいフォームは慣れるまで動きがぎこちなくなって、本番でかえってタイムを落とすんだ。テーパー期は「これまで磨いてきたものを大事にする時期」。新規挑戦は試合後に回そう。
NG③ 食事制限を急に始める

「大会前に体を絞ろう」と急に食事制限を始めるのもNGだよ。エネルギー不足で本番に力が出ない。

なるほど、絞るのは今じゃないんですね。

そう。もし体重を絞りたいなら、それは量的ハード期にやるべきこと。テーパー期は現状維持が基本だよ。
まとめ:練習量を減らす不安に負けないで

夏大会2〜3週間前のテーパー期、知っておいてほしい5つの意識をまとめるね。
- ✅ 意識① 不安は「みんな感じる」と知る
- ✅ 意識② 量より「鋭さ」にフォーカス
- ✅ 意識③ 練習を完全に止めない・低強度は維持
- ✅ 意識④ 体重・睡眠・食事の管理が結果を変える
- ✅ 意識⑤ メンタルは「来るもの」として受け流す

テーパー期は、これまで積み上げてきた土台を本番で発揮するための最後の準備期間なんだ。練習量が減ることに不安を感じるのは普通だけど、それは「テーパー期が機能している証拠」と捉えて、コーチが組んだメニューを信じて取り組んでみてね。

はい!不安に負けず、5つの意識を持って2〜3週間過ごしてみます。ありがとうございました!

その調子だよ。夏大会で力を出し切れるよう、応援してるからね。
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