

コーチ、私だってそれなりに真面目に練習してるつもりなんですよ。なのに毎回、同じところばかり注意されましてね。

じつはですね、その「なかなか上達しない」原因が、毎日の練習の成果そのものかもしれないんですよ。

練習した成果で下手になる、ですって? そんな話、聞いたことがありませんよ。

そこにこそ、伸び悩みを抜け出すヒントが隠れているんです。今日はじっくりいきましょう。
まず結論|上達を止めるのは「練習の成果」かも
押さえてほしいのは、この4点だけです。長く続けているのに上達しない人ほど、じつは悪い動きを一生懸命に練習して固めていることが多いんです。
- ずっと同じ注意をされる → 「悪い姿勢」を練習で固めているから
- 筋肉を増やすだけでは速くならない → 体が大きくなると水の抵抗も増える
- 上手い人 → 抵抗の少ない姿勢がクセづいている
- 悪いクセ → 正しい動きの反復で上書きするしかない
同じ時間を使うなら、「いい泳ぎ」を反復しましょう。

すると私は今まで、下手になる練習をせっせとしていたと。にわかには信じられませんが…くわしく聞かせてください。
「練習の成果で下手になる」とは
始めたばかりの人がきれいに泳げないのは当たり前です。まだ動きに慣れていないだけなので、これは心配いりません。
問題は、何年も続けているのにずっと同じことを注意され続けている人。これはセンスの話ではなく、悪い動きを長い時間かけて体に覚えこませてしまった結果なんです。

体が覚えてしまう、ですか。私はてっきり、才能がないだけだと思い込んでいましたよ。

才能ではないんですよ。体は繰り返した動きを「正解」として記憶します。上手い人がいい泳ぎを身につけたのと、まったく同じ仕組みです。

つまり私は、その仕組みを使って抵抗の多い泳ぎを完成させてしまったと…。
筋肉をつけるだけでは速くならない

それなら話は早い。昔から言うでしょう、もっとキツい練習で筋力をつければ速くなる、と。

そこはひとつ、思い込みかもしれません。体が大きくなれば、その分だけ水から受ける抵抗も増えるんですよ。

力をつけたのに、かえって進みにくくなることもあると?

パワーと同時に、その力を無駄にしない抵抗の少ない姿勢をキープできないと、せっかくの力が推進力に変わってくれないんです。
つまり力をつけることと姿勢を整えることはセット。片方だけでは、頑張った分が前に進む力に化けてくれないわけです。
抵抗の少ない姿勢の代表=ストリームライン
抵抗の少ない姿勢の代表が、スタートやターンの後につくるストリームライン(けのびの姿勢)です。ある程度のレベルの選手は、意識しなくても自然にこの形をつくり、最小限の抵抗で進んで浮き上がってきます。無意識でもできるくらい反復してクセづけているからです。

逆に、私のように姿勢が苦手な人間は、どんなクセがついているものですか。

だいたい、この3つのどれかに当てはまることが多いんですよ。表で見てみましょう。
| ありがちな悪いクセ | 何が起きているか |
|---|---|
| スタート・ターン後に伸びずに泳ぎ出す | 初速を活かせず、最初からブレーキ |
| 手の重なり・頭の位置が崩れる | けのびが一直線にならず抵抗が増える |
| 水中ドルフィンキックをサボる | キツいからと早く浮き上がってしまう |

全部心当たりがありますよ。うすうす、まずいとは思っていたんですがね。

つまり「ストリームラインを作らないクセ」を毎回固めていたわけです。でも、気づけたならもう大丈夫ですよ。
悪いクセは「正しい動きの反復」で上書きする
一度ついたクセを直すのは本当に大変です。それは今、シゲさん自身が身をもって感じているはず。でも上書きの方法はシンプルで、正しい動きを、悪いクセを覚えたとき以上に繰り返す。これだけです。

具体的には、何を意識すればいいんですか。昔取った杵柄で、つい自己流に戻ってしまいそうで。

自己流に戻らないための足場を3つ用意しました。この3点だけ意識してみてください。
- 1本ごとの最初の一伸びを意識する。アップの遅い1本からでいいので毎回ていねいに
- キツい練習の終盤こそ「ちょっとくらいいいか」を捨てる。崩れる場面でこそ差がつく
- けのび単体や水中ドルフィンキックのドリルで、正しい姿勢だけを取り出して反復する

終盤の1本こそ、ですか。そこは今まで一番手を抜いていたところですよ。覚えておきます。
まとめ|同じ時間なら「いい泳ぎ」を反復しよう

いい泳ぎを身につけるのも悪い泳ぎを身につけるのも、どちらも同じ「練習の成果」なんですよ。

同じ時間を使うなら、少しでも正しい方を積み重ねろ、ということですね。

そのとおりです。人より“ちょっと”だけていねいに。その小さな差の積み重ねが、気づけば周りの誰より上手に泳げる自分につながります。
“ちょっと”ていねいな1本の積み重ねが、いちばんの近道です。

長年の思い込みが少し崩れましたよ。今日から1本目から丁寧に伸びてみます。ありがとうございました、コーチ。



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