
「うちの子、最近スイミングで伸び悩んでいるみたい…」
「他の子はどんどん速くなっているのに、なぜか追いつけない…」
「もっと練習量を増やしたほうがいいんでしょうか?」
小学生スイマーの保護者の方から、よく聞くお悩みです。
結論からお伝えすると、小学生期に「速くなる」ために本当に大事なのは、練習量を増やすことではありません。むしろ、量を増やしすぎると逆効果になるケースもあります。
この記事では、小学生スイマーの保護者の方に向けて、ゴールデンエイジ期の本当の優先順位と、親ができる声かけ・環境づくりについて、僕がこれまで多くのジュニアスイマーを見てきた経験からお伝えします。
そもそも「ゴールデンエイジ」とは?小学生期の体の特性
小学生期は、スポーツ科学の世界で「ゴールデンエイジ」と呼ばれる特別な時期です。
具体的には、おおよそ9〜12歳が「ゴールデンエイジ」、5〜8歳が「プレ・ゴールデンエイジ」。この時期の子どもは、神経系(脳・神経の発達)が最も急成長する時期にあたります。
大人や中高生と比べたときの、小学生期の特徴を整理すると以下のようになります。
- 神経系の発達がピーク(技術習得の黄金期)
- 筋力・心肺機能はまだ発達途中(過度な負荷は逆効果)
- 骨が成長中(骨端線が閉じていない・故障に注意)
- 集中力が短い(長時間の単調な練習は不向き)
- 「楽しい」が最大のエネルギー源(義務感で続くのは難しい)
つまり小学生期は、「量で鍛える時期」ではなく「技術と感覚を身につける時期」。中高生・大人とは根本的にやるべきことが違います。
優先順位① 「量より技術」が小学生期の鉄則です
多くの保護者の方が「練習量を増やせば速くなる」と考えがちですが、小学生期はこの考え方が当てはまりません。
理由をお伝えします。
この時期に身についた「技術」は一生の財産になる
神経系の発達がピークの小学生期は、いわば「動き方をスポンジのように吸収する時期」。この時期に身につけた正しいフォーム・水の感覚・体の動かし方は、その後の中学・高校・大人になっても残り続ける貴重な財産になります。
逆に、フォームが崩れたまま量だけを増やすと、崩れた動き方が定着してしまい、後で直すのに何倍もの時間がかかります。
「量で速くなる時期」は中学生以降にやってくる
筋力・心肺機能がしっかり発達してくるのは、男子で12〜15歳、女子で11〜13歳ごろの第二次性徴期以降。この時期になって初めて、量・強度を上げるトレーニングが結果に直結します。
つまり小学生期に量を追っても、体が受け止めきれず、故障リスクと燃え尽きリスクが上がるだけになりがちです。
小学生期に大事にしたいこと
- 4泳法すべての基本フォームを習得する
- ドリル(技術練習)で水の感覚を磨く
- スタート・ターン・タッチなど技術要素を丁寧に
- 練習を「楽しい」と感じる体験を積む
この「土台」が、中高生以降の伸びしろを決めます。
優先順位② 「楽しさ」が小学生スイマーの最大の力です
「楽しい」という感情は、小学生スイマーにとって最大のエネルギー源です。
義務感や「やらされ感」だけで続けている子どもは、どこかで必ず限界がきます。これは何年も多くのジュニアスイマーを見てきて感じる確かな傾向です。
「楽しい」と感じる子の特徴
- 練習に行くのを自分から楽しみにしている
- 新しいことを覚えるとうれしそうに話す
- 友達との関係が良好
- 失敗してもまた挑戦する
- 「次はこうしたい」という目標を自分で言える
「楽しさ」が消えるサイン
- 練習に行くのを嫌がる回数が増える
- 「疲れた」「行きたくない」と毎回言うようになる
- 水泳の話題を避けるようになる
- 大会でタイムを意識しすぎて緊張で泣く
- 食欲・睡眠・笑顔が減る
これらのサインが見えたら、練習量・強度・期待値のいずれかが過剰になっている可能性があります。「もう少し休んでもいいよ」「無理しないでね」と声をかけてあげてください。
小学生期は、結果より「水泳が好きで居続けられること」が、その後の長い水泳人生で最大の財産になります。
優先順位③ 早期の専門種目固定はリスクです
「うちの子は平泳ぎが速いから、平泳ぎ専門でいきたい」
「クロール一本に絞ったほうが速くなるんじゃ?」
こういうお考えの保護者の方もいらっしゃいますが、小学生期での種目固定は早すぎると僕は考えています。
早期専門化のリスク
- 体の偏発達:特定の筋肉・関節だけに負荷が集中して故障リスクが上がる
- 燃え尽き:同じ種目だけ繰り返すと飽きやすく、モチベーションが続きにくい
- 適性の発見機会を失う:成長してから別種目のほうが向いていたと判明するケースもある
- 柔軟性の喪失:4泳法バランスよく身につけたほうが、後々の伸びしろが大きい
小学生期に大切にしたいこと
- 4泳法すべてを経験する
- 個人メドレー(IM)にも取り組む
- 得意・不得意の偏りはあってもOK・でも嫌いになるほど避けない
- 専門種目を固定するのは、中学・高校生になってから
4泳法バランスよく身につけることは、水泳人生を長く豊かにする基礎になります。
優先順位④ 親の「声かけ」が子どもの成長を左右します
保護者の方の声かけは、子どもの水泳との向き合い方に大きく影響します。「何を言うか」「どう聞くか」は、想像以上に重要です。
こんな声かけはおすすめ
- 「今日の練習で何を意識した?」(タイムや距離より「中身」を聞く)
- 「何が一番楽しかった?」(楽しみの源を確認)
- 「次はどうしたい?」(自分で目標を持つ習慣をつける)
- 「すごく頑張ったね」(結果ではなくプロセスを認める)
- 「無理しないでね」(休んでもいいと伝える)
避けたい声かけ
- 「○○ちゃんはもっと速いよ」(他人と比べる)
- 「タイム何秒だった?」ばかり聞く(数字だけにフォーカス)
- 「もっと頑張れ」(プレッシャーを増やす)
- 「練習さぼるな」(義務感を強化する)
- 大会前に「絶対勝てよ」(緊張を増やす)
子どもは保護者の言葉を素直に受け取ります。「水泳が好き」「自分のために泳いでいる」という気持ちを育てる声かけを大切にしてみてください。
優先順位⑤ 食事と睡眠が「見えない練習」になる
小学生期の成長期にあるスイマーにとって、食事と睡眠は練習と同じくらい重要です。
食事:三食バランス+補食
- 主食(炭水化物)・主菜(タンパク質)・副菜(野菜)を揃える
- 練習前は軽めの炭水化物(おにぎり・バナナ等)で空腹を避ける
- 練習後は炭水化物+タンパク質を組み合わせて回復を促す
- カルシウム・鉄分・ビタミンDを意識的に(成長期に重要)
女の子の中高生スイマーになっていく前段階として、鉄分不足は早くから意識したい栄養素です。詳しくは鉄分不足がパフォーマンスに与える影響もあわせてどうぞ。
成長期の小学生は普段の食事でタンパク質が不足しがち。練習量が増えてくると、食事だけで補うのが難しい場面も出てきます。
ザバスのジュニアプロテインはカルシウムとビタミンも一緒に摂れるので、成長期に必要な栄養を効率よく補えます。1食15gで気軽に飲めるココア味は、子どもが続けやすい点が大きい。ただしプロテインだけに頼ると食事のバランスが崩れるので、あくまで普段の食事の補助として位置づけるのが大切です。
睡眠:9〜10時間を確保する
小学生は9〜10時間の睡眠が理想と言われています。成長ホルモンの分泌・疲労回復・記憶定着など、睡眠中に体と脳が「育って」います。
- 練習で疲れていても、寝る時間が遅いと回復が間に合わない
- テレビ・ゲーム・スマホの時間を見直して睡眠時間確保を優先
- 朝起きるのが辛い日が続く場合は、就寝時間を早める
水分補給
子どもは大人より体温調節機能が未熟で、脱水になりやすい傾向があります。練習中の水分補給はマストです。詳しくは水泳時の最適な水分補給を参照してください。
よくあるご質問
Q. 練習の頻度はどれくらいが適切ですか?
個人差はありますが、小学生期は週3〜5回が目安です。週5回以上の練習は、よほど本人が望んで楽しんでいる場合を除いておすすめしません。完全休養日を週2日確保することも大切です。
Q. 大会で結果が出ないと焦ります。どうしたら?
小学生期の大会結果は、長い水泳人生から見ればごく一部です。今のタイムより「フォームが綺麗になっているか」「水泳が好きで居続けているか」のほうが、はるかに大事な指標です。焦らず長い目で。
Q. 体格が小さいことが気になります
体格は小学生期では大きな差として見えますが、第二次性徴期で逆転することはよくあります。今は技術を磨くことに集中して、体格は時間に任せるのがおすすめです。
Q. 中学受験と両立できる?
本人と家族の優先順位次第ですが、無理に両立させようとして両方が中途半端になるのが一番もったいないパターンです。本人の希望を最優先に、休止・継続・量の調整を柔軟に決めてあげてください。
まとめ:小学生期は「土台作り」の時間です
小学生スイマーが速くなるために、保護者の方に知っておいてほしい5つの優先順位をまとめました。
- ✅ ① 量より技術が小学生期の鉄則
- ✅ ② 「楽しさ」が最大のエネルギー源
- ✅ ③ 早期の専門種目固定はリスク
- ✅ ④ 親の「声かけ」が子どもの成長を左右する
- ✅ ⑤ 食事と睡眠が「見えない練習」になる
小学生期は、結果を急ぐ時期ではなく、中学・高校・大人になっても水泳を楽しめる土台を作る時期です。
お子さんが今、水泳を楽しんで、新しいことを覚えるたびに目を輝かせているなら、その姿そのものが何より大切な財産です。タイムや結果はそのあとからついてきます。
長い目で見守ってあげてください。
もっと詳しく知りたい方へ
成長期のジュニアスイマーの食事・サプリ・プロテインについては、それぞれもう少し踏み込んだ記事を用意しています。気になるテーマからどうぞ。
- 水泳ジュニアにプロテインは必要?おすすめ4選と摂取タイミング|保護者が知っておきたい選び方 — 成長期にプロテインを取り入れる時の選び方とタイミング
- ジュニアスイマーの親が知っておくべき正しいサポート方法 — 食事・睡眠・声かけまで含めた親のサポートの基本
- ジュニアスイマーにプロテインは必要?摂取の判断基準と注意点 — そもそもプロテインが必要かどうかの見極め方
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