
コーチ、壁を蹴った直後は進むのに、すぐ脚が沈んで止まってしまいます。もっと強く蹴れば遠くまで行けますか?

強く蹴る前に、姿勢を細くそろえてみよう。けのびは力比べではなく、壁でもらった速さを逃がさず、次の泳ぎへつなぐ技術なんだ。
先に結論
けのびは「頭・腰・脚」を細くそろえる
- 頭:前を見ず、後頭部を腕の間へ入れる
- 腰:胸を張りすぎず、お腹を軽く支える
- 脚:膝とかかとを近づけ、足先まで細くする
止まるまで我慢せず、勢いが残っているうちにキックやストロークへつなげます。
| 見る場所 | 作りたい形 | よくある崩れ |
|---|---|---|
| 手・頭 | 手を重ね、頭を腕の間へ | 前を見る、肘が開く |
| 腰 | 肩から腰まで細くつなぐ | 胸を張って腰が反る |
| 脚 | 膝・かかとを近づける | 脚が開く、膝が曲がる |
| 浮き上がり | 勢いが残るうちに泳ぎ始める | 止まるまで待つ |
けのびとは?ストリームラインとの違い
ストリームラインは、水の抵抗を受けにくい細長い姿勢のことです。けのびは、その姿勢を作って壁を蹴り、進む動作までを含みます。練習中は、ほぼ同じ意味で使われることもあります。
壁を離れた直後は、泳いでいるときより速く進める場面です。頭が上がる、肘や脚が開く、腰が反ると、その速さをすぐに失ってしまいます。だからけのびは、クロール・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライすべての土台になります。
けのび姿勢を作る3つのポイント

腕・体・脚を全部そろえるんですね。最初から全部意識したら、体がガチガチになりそうです。

最初は一か所ずつで大丈夫。まず頭と腕、次に腰、最後に脚。できた感覚を重ねるほうが、自然なストリームラインになるよ。
手を重ね、頭を腕の間へ入れる
片方の手の上にもう片方の手を重ね、親指を軽くかけます。肘を伸ばし、目線は真下から斜め下へ。前を見るのではなく、後頭部が腕の間へ収まる位置を探してください。
肩が硬い方は、腕を無理やり耳の後ろへ押し込む必要はありません。痛みのない範囲で手と腕の幅を狭くし、首を長く保つことから始めます。
胸を張りすぎず、腰の反りを小さくする
「姿勢を良くしよう」と胸を強く張ると、腰が反って脚が沈みやすくなります。みぞおちを少し引き込み、お腹を軽く支える感覚で、肩・腰・かかとを同じ方向へ向けます。
膝とかかとを近づけ、脚を細くする
両脚が開くと、その分だけ水を受ける面が増えます。内ももを軽く寄せ、膝とかかとを近づけます。つま先は自然に伸ばし、足がつるほど力を入れないようにしましょう。
脚が沈むときは、頭と腰から見直す

脚が沈むので、前を見て水面へ上がろうとしていました。

前を見ると頭が上がり、腰と脚が下がりやすい。目線を下へ戻して、後頭部を腕の間へ入れるところから試してみよう。
脚が沈むと、脚だけを持ち上げようとしがちです。ところが、原因は前を見て頭が上がっていたり、胸を張って腰が反っていたりすることもあります。
脚が沈むときの確認順
- 目線を真下から斜め下へ戻す
- 後頭部を腕の間へ入れる
- 胸を張りすぎていないか確認する
- 膝とかかとを近づける
一度に全部直さず、最初に崩れる一か所を探すのがコツです。
壁は「上」ではなく、進みたい方向へ蹴る
水面へ早く出ようとして上向きに蹴ると、前へ進む力が減ってしまいます。基本は、レーンの進行方向へまっすぐ押し出すこと。すぐ水面へ出てしまう方は少しだけ深く、深く沈みすぎる方は壁へ置く足の高さと手先の向きを見直します。
ちょうどよい深さは、泳法・体格・壁を蹴る力で変わります。決まった深さをまねるより、姿勢を崩さず自然に浮き上がれる軌道を探しましょう。
止まる前にキックとストロークへつなぐ

できるだけ長く進もうとして、止まる直前まで息を我慢していました。距離が長いほど上手なんですよね?

けのびの目的は距離の記録ではなく、泳ぎへ速くつなぐこと。勢いが残っているうちにキックや最初のストロークへ移ろう。
壁を蹴った勢いがなくなってから泳ぎ始めると、止まった体をもう一度動かすことになります。反対に、蹴ってすぐ腕を動かすと、自分で抵抗を増やしてしまいます。
| 泳法 | つなぎ方 |
|---|---|
| クロール | 姿勢を保ってキックを始め、頭を上げず最初のストロークへ |
| 背泳ぎ | 手の位置を保ち、水中キックから泳ぎへつなぐ |
| バタフライ | 腰だけを大きく曲げず、小さなキックから始める |
| 平泳ぎ | ひとかき・ひとけりから、流れを止めず浮き上がる |
合図は「完全に遅くなった瞬間」ではなく、勢いが少し落ち始めたところです。自分の泳ぎの速さに自然につながるタイミングを、何本か試して見つけてください。
けのびを整える練習3ステップ
1. 陸上で頭・腰・脚の位置を確認
壁に背中を向けて立ち、両腕を上げます。頭を腕の間へ入れ、胸を張りすぎず、膝とかかとをそろえます。力を入れ続ける練習ではなく、細い形を覚える確認です。
2. 3〜5mだけ、きれいな姿勢で滑る
壁を強く蹴らず、短い距離で姿勢を確認します。手・頭・腰・脚のうち、最初にどこが崩れたかを一つだけ覚えておきます。次の一本では、その場所だけを意識します。
3. 最初の3ストロークまでつなげる
短いけのびからキックを始め、最初の3ストロークまで泳ぎます。「けのびの終わり」で止まらず、泳ぎへ滑らかにつながったかを確認しましょう。
練習の約束:息止め時間や水中距離の競争にはしません。普段どおり呼吸してから始め、周囲と進行方向を確認し、子どもは指導者や保護者の見守りのもとで行ってください。
よくある悩みと直し方
| 悩み | 最初に確認 | 試すこと |
|---|---|---|
| 脚が沈む | 目線と腰の反り | 頭を腕の間へ戻し、みぞおちを少し引く |
| すぐ減速する | 肘・脚の開き | 壁を弱めに蹴り、形が崩れる場所を探す |
| 左右へ曲がる | 手の重なりと蹴る方向 | 両手と両足を左右同じ位置にそろえる |
| 腕が耳につかない | 肩へ力を入れすぎていないか | 痛みのない幅で腕を上げ、頭の位置を先に整える |
動画を撮れる環境なら、横から一度だけ確認すると崩れる場所が分かりやすくなります。距離ではなく、壁を離れた直後と泳ぎ始める直前の形を見比べてください。
けのびのよくある質問
けのびとストリームラインは同じですか?
練習ではほぼ同じ意味で使われます。厳密には、ストリームラインは細長い姿勢、けのびはその姿勢で壁を蹴って進む動作までを指します。
何m進めたら合格ですか?
共通の合格距離はありません。身長、浮きやすさ、壁を蹴る力などで変わるためです。同じ場所・同じ強さで蹴り、前回より姿勢が崩れにくくなったか、泳ぎへスムーズにつながったかで比べましょう。
腕を耳につけないとダメですか?
無理につける必要はありません。肩をすくめて腰が反るなら逆効果です。痛みのない範囲で腕の幅を狭くし、頭が腕の間へ収まる位置を探してください。

なるほど。10m進めたかより、姿勢を崩さず次の泳ぎへつながったかを見るんですね。

その通り。毎回の壁蹴りで一か所だけ確認すれば、けのびは少しずつ整う。次の練習では、まず頭の位置から試してみよう。
まとめ|けのびは力より、細い姿勢とつなぎ
- 前を見ず、後頭部を腕の間へ入れる
- 胸を張りすぎず、腰の反りを小さくする
- 膝とかかとを近づけ、脚を細くまとめる
- 壁は上ではなく、進みたい方向へ蹴る
- 止まる前にキックやストロークへつなぐ
次の練習では、距離を伸ばそうとする前に「頭の位置」だけを意識して3本試してみてください。一か所ずつ整えると、同じ蹴る力でも壁からの速度を長く生かせるようになります。



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