「知って楽しい水泳こぼれ話」、第12回です。今回は、プールの底でパックを運ぶ国際競技「水中ホッケー」を見ていきます。
先に結論
水中ホッケーは、フィン・マスク・シュノーケルを着けた6人ずつが、短いスティックでプール底のパックを相手ゴールへ運ぶ競技です。スキューバ器材は使わず、浮上して呼吸しながら交代と連係を繰り返します。
水面ではなく、プールの底で試合が進む
CMAS(世界水中連盟)の説明では、試合中に水へ入るのは各チーム6人。ベンチの4人を含む最大10人で構成され、選手はパックをスティックで押したり味方へパスしたりして、プール底の相手ゴールを狙います。
水中では呼吸できないため、選手は必要に応じて水面へ戻り、シュノーケルで呼吸して再び潜ります。全員が同時に底へ残ろうとするのではなく、誰がパックへ関わり、誰が呼吸や交代へ移るかを合わせることが重要です。
CMASルールの基本
- 競技エリア:長さ21〜25m、幅15〜18m
- 試合時間:15分ハーフを2回
- 水中の選手:各チーム6人
- 主な装備:マスク、シュノーケル、マウスガード、フィン、スティック、耳を保護するキャップ、水着
- パック:プール底を滑らせ、スティックで相手ゴールへ入れる
スティック以外でパックを止める、相手へスティックを使う、進路を不正に妨げるといった行為は反則です。水中審判と陸上の主審が試合を管理し、音響信号とハンドサインで再開や反則を伝えます。
1950年代のイギリスから世界選手権へ
CMASの競技史では、1950年代にイギリス海軍がダイバーの体力と水中作業能力を保つために始めた競技とされています。初期には「Octopush」と呼ばれ、その後国際競技へ発展しました。
CMASの大会記録では、第1回世界選手権は1980年にカナダ・バンクーバーで開催されています。現在はエリート、マスターズ、年代別などの大会区分があり、公式ルールも更新されています。
見えにくいからこそ、連係が問われる
競泳と違い、選手は水面上の声を頼りにできません。味方の位置、パックの動き、呼吸へ戻るタイミングを視野と事前の役割分担で判断します。CMASは3人の前方選手と3人の後方選手を置く3-3など、複数の基本配置を紹介しています。
観客席からはプレーを追いにくいため、大会映像では水中カメラが重要になります。水面だけを見ると静かでも、底ではパス、反則、交代が連続している点が、この競技ならではです。
日本でも競技情報を確認できる
日本では、日本水中スポーツ連盟が水中ホッケーの競技情報を案内しています。参加や体験を検討する場合は、一般開放中のプールで自己流に道具を使わず、連盟や競技団体が案内するクラブ・練習会へ確認してください。
息こらえ競争として練習しない
水中ホッケーは息を止める長さだけを競うスポーツではありません。単独での長い息こらえ、過換気をしてから潜る練習、監視のないプールでの再現は避けてください。競技用の環境、指導、監視、施設の許可がそろった場所で段階的に覚える必要があります。
まとめ
水中ホッケーは、各チーム6人がプール底のパックを奪い合う国際競技です。泳力だけでなく、フィン操作、短い潜水の反復、交代、声を使えない中での連係が組み合わさります。「水の底でホッケーをする」という一見単純な発想が、40年以上続く世界選手権へ発展していました。
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