
「水泳と筋トレ、結局どっちを先にやればいいの?」
「同じ日に両方やると、どっちつかずになる気がする」
「プールに行く前にジムで筋トレしてから泳ぐべき?それとも泳いでから?」
こうした疑問は、本気で泳速アップを目指す方なら一度は突き当たる悩みかもしれません。先に結論をお伝えすると、水泳と筋トレの順番は「その日に何を一番伸ばしたいか」で逆になります。スプリント目的なら水泳が先、持久力目的なら筋トレが先、というのが基本の考え方です。
本記事では、僕が現役で泳いできた経験+多くのスイマーを見てきた経験から、水泳と筋トレの順番をどう組み立てるかを整理しました。マスターズスイマー・中高生スイマー・体力に自信がない大人の方まで、それぞれの取り入れ方も紹介します。
結論早見表:目的別「水泳と筋トレ」の順番
細かい理由はあとで説明しますが、まず結論からまとめます。
- 50m・100mのタイムを縮めたい(スプリント・スピード重視) → 水泳が先 → 筋トレが後
- 後半バテない体・距離を伸ばしたい(持久力重視) → 筋トレが先 → 水泳が後
- 趣味で長く泳ぎ続けたい・健康維持が目的 → 別の日に分けるか、6時間以上空けるのが安心
- 故障明け・体力に自信がない方 → 軽めの陸トレ → 水中で動きを整える、の順がおすすめ
ポイントは「その日に一番伸ばしたいもの・一番質を高めたいものを最初に持ってくる」という考え方です。
なぜ順番で結果が変わるのか:神経系と筋系の話
体は、その日「最初に入ってきた強い刺激」にもっとも素直に反応する性質があります。フレッシュな状態で行った動きは神経系にしっかり刻まれ、その後のトレーニングのベースになっていきます。逆に、すでに疲れた状態で繊細な動きをやろうとすると、本来出せるパフォーマンスが出ないまま、その「鈍った動き」を体が学習してしまうことがあるんです。
水泳は、想像以上に繊細な動作の積み重ねです。水泳のプル(pull)ひとつとっても、肘の角度・水のとらえ方・広背筋の使い方など、たくさんの要素が絡みます。これを疲労した状態で繰り返すと、ぎこちない動きが体に残ってしまうこともあるので注意が必要です。
一方、筋肥大やパワーアップを狙う筋トレは、ある程度しっかり筋肉を追い込めることが成果につながります。技術練習を先に長くやって筋肉を消耗してしまうと、こちらも効果が薄れてしまいます。
つまり、「神経系を最高の状態で使いたいもの」を最初に持ってくる。これが順番を考えるときの出発点です。
スプリント・スピード目的なら「水泳が先」
水を捉える感覚をフレッシュなまま磨く
50m・100mのタイムを縮めたい方にとって、もっとも大事なのは「いかに速く・正確に水を捉えるか」という神経系の働きです。筋肉のサイズより、繊細なキャッチ動作の精度がタイムを左右する局面が多くあります。
先に筋トレで筋肉を追い込むと、筋肉が一時的に重く・遅くなった状態でプールに入ることになります。その状態で「速く泳ぐ練習」をしても、本来出せるスピードが出ない。脳が「鈍い動き」を正解として記憶してしまう可能性もあります。
スプリント日のスケジュール例
- ウォームアップ(陸+プール) 15分
- 水泳:メイン(全力スプリント・25m×8本など) 60分
- クールダウン(プール内ゆっくり泳ぎ) 10分
- 陸トレ:補強筋トレ(広背筋・体幹中心) 20〜30分
- ストレッチ・栄養補給 15分
水泳でしっかりスピードを出し切ってから、足りない筋力を陸で補う、という順番です。
持久力・スタミナ目的なら「筋トレが先」
「一掻きで進む距離」を伸ばす土台作り
距離を泳ぎたい方・後半バテたくない方にとって大事なのは、一掻き(ワンストローク)で進む距離を伸ばし、同じ距離をより少ないエネルギーで泳げるようになることです。これは「効率の良さ」と言い換えてもいいかもしれません。
そのためには、筋肉をしっかり意識的に使う感覚が必要になります。先に筋トレで筋肉を起こしておくと、続く水泳練習で「使えていなかった筋肉に火が入る」感覚が得やすくなる方が多いです。代謝が上がった状態で持久的に泳ぐことで、ベースの底上げも狙えます。
持久力日のスケジュール例
- ウォームアップ(陸軽め) 10分
- 陸トレ:中強度の筋トレ(全身バランス・各種目10〜12回×3セット) 30分
- 水分補給+10分休憩
- 水泳:長め+一定ペース(400m×3本・600m×2本など) 60分
- クールダウン+ストレッチ 15分
注意したいのは、陸トレでフォームが崩れるほど追い込まないこと。土台作りが目的なので、限界まで追い込む必要はありません。
陸トレで使いやすい器具を選ぶなら
水泳の補強として陸トレを取り入れる場合、自宅で続けやすい器具をひとつ持っておくとハードルが下がります。セラバンド・メディシンボール・TRX・懸垂バーなど、水泳の動きと相性の良い器具をまとめて紹介しているページもあるので、選び方の参考にしてみてください。
水泳のプル動作で重要な広背筋を鍛えるなら、自宅のドア枠に取り付けるタイプの懸垂バーも手軽な選択肢のひとつです。水泳後の補強として、自重で広背筋・上腕二頭筋に効かせやすい種目です。
水泳と筋トレの「干渉」を防ぐ7つのコツ
水泳(持久系)と筋トレ(筋肥大系)を同じ日にセットで行うと、内容によってはお互いの効果を打ち消し合う「干渉」が起こることがあります。これを和らげる7つの工夫を紹介します。
①刺激する部位を分ける(腕の日・脚の日)
同じ日に下半身を限界まで追い込んだあと、ハードなキック練習を入れるのは避けたいところ。陸で脚を鍛えた日は、水中では腕(プル)中心。逆も同じ考え方で組み立てると、回復が間に合いやすくなります。
②2回練習なら6時間以上空ける
1日2回練習できる方は、練習間を6時間以上空けるのが理想です。朝に泳いで夕方に筋トレ、あるいはその逆。エネルギーがある程度回復した状態で次の練習に入れると、両方の質が落ちにくくなります。
③強度の重なりを避ける
「ハードな水泳」+「ハードな筋トレ」を同じ日にやると、回復が間に合わず翌日以降のパフォーマンスが落ちることがあります。強度はどちらか一方を「中以下」にとどめると安心です。
④筋トレ後30〜60分以内に栄養補給
筋トレ後は筋繊維が修復モードに入る時間帯と言われています。タンパク質+炭水化物を30〜60分以内に補給しておくと、続く水泳練習にも余力を持って入れます。
⑤練習中の水分補給を切らさない
水泳と筋トレをセットで行う日は、想像以上に発汗します。500ml〜1Lの水分を手元に置いて、こまめに飲むようにしてみてください。具体的な選び方は水泳時の最適な水分補給もあわせてどうぞ。
⑥週に1日は完全休養日を入れる
順番と同じくらい大切なのが「休む日」。週に最低1日は完全休養日を作って、回復のサイクルを完結させたいところ。これがないと、どれだけ順番が正しくても効果は頭打ちになりやすいです。
⑦泳ぎの質が落ちてきたら順番を見直す
「最近フォームが崩れている気がする」「タイムが落ちてきた」。こうした兆候が出たら、順番設定を見直すサインです。主役はあくまで水泳。陸トレの追い込みが原因で泳ぎが崩れているなら、ためらわず順番・強度を調整してみてください。
タイプ別:取り入れ方の考え方
マスターズスイマーの場合
仕事や家庭との両立で、週に泳げる回数が限られる方が多いと思います。週3〜4回プールに行ける方なら、1回の練習の中で「水泳メイン+補強筋トレ少々」をセットにしてしまうのが現実的です。スプリント志向なら水泳→筋トレ、持久力志向なら筋トレ→水泳。週末に長めの持久練習を組み込むと、メリハリがつきやすくなります。
1週間のサンプルを挙げると、こんな感じです。
- 月:水泳(スプリント中心60分)→腕の補強筋トレ20分
- 火:休養 or 軽い有酸素(ウォーキング30分)
- 水:下半身筋トレ30分→水泳(プル中心60分)
- 木:休養日
- 金:水泳(技術練習60分)+体幹トレ15分
- 土:水泳(持久ロング60〜90分)
- 日:完全休養日
中高生スイマーの場合
成長期の中高生は、まだ骨格や関節が完成しきっていない時期です。重いウェイトをガンガン上げるよりも、自重トレ・チューブ・メディシンボールなど、関節への負担が少ない補強から入るのがおすすめです。チームで陸トレが組まれている場合は、まずはその内容に集中して、自主的にやるなら体幹・柔軟性・モビリティを補う方向で考えてみてください。
「一番速く泳げる神経系のキレ」を磨く時期でもあるので、水泳の質を最優先にする順番(=水泳が先)が基本になります。
体力に自信がない大人スイマーの場合
「健康のために続けたい」「無理せず長く泳ぎたい」という方は、強度よりも続けられるリズムを優先したいところです。筋トレも水泳も、どちらか一方を「中以下」にして、別の日に分ける方が回復しやすい場合が多いです。
「今日は水泳だけ」「今日は陸トレだけ」と日替わりにしてしまうのも、ひとつの方法です。順番にこだわるよりも、続けやすさを優先してみてください。
栄養と回復:順番を生かす土台
どれだけ順番を最適化しても、回復が追いつかなければ効果は出にくくなります。順番を生かすための栄養と回復のポイントもまとめておきます。
- 練習後30分以内:プロテイン+おにぎり/バナナなど(タンパク質+糖質)
- 夕食:タンパク質をこぶし1個分・野菜たっぷり・主食適量
- 就寝:7時間以上の睡眠で回復
- 水分:練習中だけでなく、1日通して2L目安
- 体重とコンディション:朝に体重・疲労度を簡単にメモ。落ちる兆候があれば、順番より休養を優先
水泳と食事・体重の関係を整理して考えたい方は、水泳で痩せない6つの本当の理由と効果的な練習法もあわせて参考にしてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 同じ日にセットでやって大丈夫?
大丈夫です。ただし強度はどちらか一方を中以下に抑える方が安心です。両方を限界まで追い込むと干渉が起こりやすく、回復も追いつきにくくなります。可能なら6時間以上空けて2回練習にできると理想的です。
Q2. 朝の筋トレと夕方の水泳、効果的?
朝の筋トレは目覚めや代謝の面でも相性が良く、夕方の水泳でその日の筋肉を使い切る流れは理にかなっています。持久力タイプの方には組みやすいスケジュールのひとつです。
Q3. プロテインは水泳前と後どちらがよい?
基本は運動後30〜60分以内。空腹で泳ぐと力が出にくい方は、練習1〜2時間前にバナナ程度の軽食をとっておくと安心です。
Q4. ウェイトを増やすとフォームが崩れる気がします
水泳のフォームを崩さない範囲なら、ウェイトを増やしても問題ありません。ただし泳ぎの質が落ち始めたらすぐ見直すのがポイント。主役はあくまで水泳で、陸トレはサポート役という位置付けでいると、判断がしやすくなります。
Q5. ジュニア・初心者はどうすれば?
ジュニア期や水泳初心者の方は筋トレより技術練習が最優先です。陸トレは体幹・柔軟性・基礎体力を整える程度にとどめて、本格的なウェイトトレーニングは中学校高学年以降に段階的に入れていく方向が安全だと感じています。
まとめ:目的が決まれば、順番は迷わなくなる
- 水泳と筋トレの順番は「目的によって逆になる」のが基本。鉄則は「一番伸ばしたいものを先に」。
- スプリント・スピード目的なら水泳が先 → 筋トレが後。神経系がフレッシュなうちにスピードを出し切る。
- 持久力・スタミナ目的なら筋トレが先 → 水泳が後。筋力を底上げした状態で持久的に泳ぐ。
- 干渉対策7つ:部位分け / 6時間ルール / 強度の重なり回避 / 練習後の栄養 / 水分補給 / 完全休養日 / 質低下のサインで見直し。
- 主役はあくまで水泳。陸トレは水泳を支える土台。質が落ち始めたら順番・強度・休養を見直す。
「水泳と筋トレ、どっちを先にやるか」。このわずか一手の違いが、半年後・1年後のタイムや泳ぎの質を変えていきます。今日の練習から、自分の目的に合った順番を試してみてください。
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