スタートやターンの後、水の中でスーッと進んでいく選手を見て「自分はすぐ浮いちゃうのに」と落ち込んだこと、ありませんか。今日のユウコさんも、そんな悩みを抱えてやってきました。

コーチ、スタートやターンのあとの潜水が苦手で、すぐ浮き上がっちゃうんです。私だけ全然進んでなくて…。

潜水って、そもそもそんなにタイムに関係するものなんですか?

すごく関係しますよ。スタートやターン後の潜水、つまりドルフィンキックは、タイム短縮の鍵になる大事な技術なんです。
特に背泳ぎやバタフライでは、潜水の長さと質が記録に大きく影響します。壁を蹴ったあとの数秒で、ライバルとの差がぐっと開くこともあるほどです。
まず結論|潜水は4つの力をバランスよく
先に今日のゴールを言ってしまいますね。潜水を伸ばすコツは、次のとおりです。
- 潜水は肺活量・キック効率・ストリームライン・メンタルの4つをバランスよく → どれか一つでは伸びない
- 背泳ぎ・バタフライで特に記録に影響 → スタート/ターン後の差が大きい
- 各トレーニングを組み合わせる → 長く速い潜水につながる
潜水の質が、ターンごとのタイム差を生みます。

一つだけじゃダメで、4つを全部バランスよく…!私、そんなにできる気がしないです。

大丈夫ですよ。全部いっぺんにやろうとしなくていいんです。ひとつずつ見ていきましょうか。
潜水に必要な4つの要素
まず、潜水能力を上げるために鍛える4つの柱を整理しておきます。
| 要素 | 中身 |
|---|---|
| 肺活量と呼吸制御 | 長く息を止められる能力 |
| ドルフィンキックの効率 | 水中での推進力 |
| ストリームラインの最適化 | 水の抵抗を最小限にする技術 |
| メンタルとリラックス | パニックを防ぎ落ち着いた動作を保つ |

まずは、息を長く止められるようになりたいです。どんな練習からすればいいですか?
① 息を長く止める呼吸トレーニング
目的は、水中での酸素の使い方を効率化して、より長く息を止められるようにすること。代表的な3つを紹介します。
| 練習 | やり方 | 効果 |
|---|---|---|
| ボックスブリージング | 4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める。これを5分繰り返す | 酸素を効率よく使い、心拍を落ち着けて長く止められる |
| CO₂耐性トレーニング | 25mを普通呼吸→3ストローク1呼吸→5ストローク1呼吸→10ストローク1呼吸 | 二酸化炭素への耐性が上がり息苦しさが軽くなる |

呼吸の練習だけで、こんなに種類があるんですね。私、息を止めるのすぐ苦しくなるから不安で…。

その苦しさこそCO₂耐性で慣らせる部分なんです。呼吸は土台だから、ここが整うと後がぐっと楽になりますよ。

慣れてきたら、次はキックの効率を上げていきましょう。フィンでキックの感覚をつかむ方法もあって、選び方はFastskinキックフィンの解説ページも参考にしてくださいね。
※潜水前の過呼吸は厳禁(失神の原因)。息を止める練習は必ず見守りのある環境で・単独では行わないでください。くわしくは呼吸制限(ハイポ)は効果ある?もどうぞ。
② ドルフィンキックの技術を上げる
目的は、少ないキック回数で長く進める効率のよいドルフィンキックを身につけること。ポイントは3つあります。
- フィンをつけて15m潜水キック×5セット、25mドルフィンキック(呼吸なし)×3セット → 徐々にフィンなしでも同じ距離へ
- 壁を蹴ったあと2秒まっすぐ伸び、腰を起点にしなやかに動く
- 小さく速くではなく大きくゆったりとしたキックを意識する

小さく速く、じゃなくて大きくゆったり…!てっきり必死にバタバタ動かすものだと思ってました。

そこ、みんな勘違いしやすいところなんです。大きくゆったりのほうがエネルギー効率がよくて、疲れにくいんですよ。
さらに水の中だけでなく、陸での体幹強化も効きます。プランク(1分×3)、ヒップリフト(15回×3)、バタ足腹筋(20回×3)。体幹が安定すると、キックのブレが減ります。
③ 抵抗を減らす姿勢=ストリームライン

どんなにキックが強くても、姿勢が崩れていたら水の抵抗で止まっちゃうんです。ここ、すごく大事ですよ。

姿勢…。私、自分の泳ぎがどうなってるか自分では見えないから、そこが一番こわいです。

だからこそ、鏡を使って陸で確認するのがおすすめです。見えない不安は、見える形にすれば消えますよ。
- 壁を蹴った直後に肩を耳につける(手が広がらないように)
- 背中を丸めず、体を一直線に保つ
- 肘や膝を曲げない
- ドリル=ストリームラインのまま15mグライド×5セット/鏡を見て陸でも姿勢確認

肩を耳につける、ですね。鏡で陸でも確認できるなら、私でも自分の姿勢がわかりそうです。
④ メンタルとリラックス
最後はメンタルです。潜水中に焦ると、それだけで余計に酸素を消費してしまいます。心配性のユウコさんには、ここが実は効くところ。

それ、まさに私です…。潜ってる途中で『まだ浮けない、どうしよう』って焦っちゃうんです。

その焦りをほどくのがコツなんです。前を見たまま、水の流れに集中して、余計な力を抜いてみてください。

『水に溶け込む』イメージを持って、心拍を意識的に落とす。焦らずリズムを整えるだけで、ぐっと安定しますよ。
⚠️安全のために必ず守ってください。潜る前に何度も大きく息を吸ったり吐いたりする「過呼吸」は絶対にしないこと。息をしたい合図が遅れ、水中で気を失う失神(ブラックアウト)の原因になります(赤十字やUSA Swimmingも警告)。息を止めての潜水練習は必ず監視者・指導者のいる場所で、一人では行わない。少しでも苦しい・くらっとしたらすぐ中止し、体調に不安があるときは専門家に相談してください。
1回にまとめる実践メニュー
ここまでの4つを、1回の練習にまとめるとこんな形になります。
| 種類 | 練習内容 | 回数 |
|---|---|---|
| 呼吸制御 | ボックスブリージング | 5分 |
| CO₂耐性 | 3→5→10ストローク呼吸制限スイム | 5本 |
| 潜水キック | フィン付き15m潜水×5本 | 5セット |
| 体幹強化 | プランク1分×3セット | 3セット |
| ストリームライン | 15mグライド×5本 | 5セット |
| メンタル | 潜水中の呼吸制御(リラックス練習) | 5分 |

これなら、全部の要素をまんべんなく鍛えられますね。全部いっぺんじゃなくていいって聞いて、少し安心しました。
まとめ
潜水を伸ばすには、肺活量・キック効率・ストリームライン・メンタルをバランスよく鍛えることが欠かせません。組み合わせて続けていけば、長く速い潜水が身につきます。

ユウコさん、心配性なのは弱点じゃなくて、リラックスを丁寧に身につけられる強みでもあるんですよ。

はい!今日からこのメニューで、潜水を武器にできるよう頑張りますね。
焦らず一つずつ。潜水はあなたの武器になります。



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