「肩を一生懸命動かしているのに、ストロークが小さくて伸びない」——ケイコさんが今日持ってきたのは、そんな肩の悩みでした。ところがよしのりコーチの見立ては、まったく別の場所を指していました。

コーチ、最近ストロークが小さくて伸びないんです。肩を頑張って動かしてるつもりなんですけど…これって肩の使い方の問題ですか?

うーん、肩そのものじゃなくて、背中の柔軟性が原因かもしれませんね。

背中、ですか?肩の悩みなのに、背中が関係するんですね。

そうなんですよ。効率的なストロークやスムーズなターンには、背中の柔軟性と正しい姿勢がとても大事なんです。
特にカギになるのが背骨(脊柱)の動きと肩甲骨の可動域。この2つがスムーズだと、ストリームラインを美しく保てます。しかも背中と肩は密接に連動していて、どちらかが固いともう一方の動きも制限されてしまうのです。
まず結論|背中の柔軟性が泳ぎ全体を左右する
背中の柔軟性が水泳に効く要点は、次の3つです。
- 背中の柔軟性はストリームライン・肩甲骨の動き・呼吸に影響し、泳ぎの土台になる
- カギは胸椎の柔軟性と肩甲骨の可動域——ここをほぐす
- 肩と背中は連動していて、どちらかが固いと全体に影響が出る
背中がしなやかになると、ストロークも呼吸も、ぐっと楽になります。

泳ぎの土台が背中…。正直、意識したことなかったです。ストレッチって面倒で、つい後回しにしちゃって。

多くの方が見落としがちなんですよ。しかも、やみくもに全部やる必要はないんです。効くポイントさえ分かれば、少しで十分効いてきますよ。

それなら続けられそうです。まず、背骨ってどうなってるんですか?
人間の背骨は「脊柱」と呼ばれ、大きく3つのセクションに分かれています。
| 部位 | 場所 | 骨の数 |
|---|---|---|
| 頸椎(けいつい) | 首の部分 | 7個 |
| 胸椎(きょうつい) | 背中の中央部分 | 12個 |
| 腰椎(ようつい) | 腰の部分 | 5個 |
脊柱は体を支える柱であると同時に、しなやかな動きも生み出しています。水泳で特に重要なのが胸椎と肩甲骨の可動性。つまり、背中の真ん中がカギなのです。
背中の柔軟性は泳ぎの3か所に効く
背中の柔軟性が泳ぎのどこに効くのか。ストリームライン・肩甲骨・呼吸の3つの観点で、固い場合と柔らかい場合を並べてみます。
| 観点 | 背中が固いと | 背中が柔らかいと |
|---|---|---|
| ストリームライン | 腰を反りすぎたり腕がまっすぐ上がらず、姿勢が崩れやすい | 背中が自然に伸び、無理なく流線型を維持できる |
| 肩甲骨の動き | 猫背で腕が上がらず、ストロークが小さく無駄な力を使う | 大きく動かせて、水をしっかり捉えて効率的に泳げる |
| 呼吸 | 胸郭が開かず呼吸が浅くなる | スムーズに顔を上げられ、リラックスして息継ぎできる |

あら…私のストロークが小さいのって、猫背気味なのが原因かもしれません。

いいところに気づきましたね。肩甲骨が前に巻き込む猫背だと、腕が十分に上がらないんです。逆に正しい位置にあれば、大きな動きで水を捉えられますよ。

背中が固いと、腰で反って帳尻を合わせちゃうってことですか?

まさにそれです。胸椎が伸びない分を腰でカバーしようとして、フォームが崩れるんですよ。

呼吸まで背中とつながってるとは思いませんでした。

背中が硬いと胸郭が開かず、息が浅くなるんです。特にクロールの息継ぎは、柔らかい背中があるとスッと顔が上がりますよ。
ここが本題|肩の固さと背中の固さは連動する
今日いちばん伝えたいのがここ。肩の固さと背中の固さは、深く関係し合っています。肩甲骨は胸郭(肋骨のある部分)の上に乗っていて、胸椎と連動して動く——だから胸椎が固いと肩甲骨の動きが悪くなり、結果として肩関節の可動域まで狭くなるのです。

じゃあ、腕が上がりにくいのは肩じゃなくて背中のせい、ってこともあるんですか?

まさにそれなんですよ!ストリームラインを取るとき、肩が固いから腕が上がらないと思いがちですが、実は胸椎の柔軟性不足で動かしにくいことも多いんです。

逆に、肩甲骨まわりが固いと背中も丸まっちゃう、みたいな?

その通り。お互いに引っ張り合うんです。だから片方だけほぐしても、なかなか良くならないんですよ。
肩関節は動きの大きい関節で、その分不安定になりやすいのも特徴。肩甲骨と胸椎が柔軟でないと、肩に過剰な負担がかかります。固さがどう悪循環を生むか、両方向で見てみましょう。
| どちらが固いと | 起きること |
|---|---|
| 背中(胸椎)が固い | 肩甲骨の可動域が制限され、肩関節に無理な負担/腕が上がらず動きが小さく/姿勢が悪化して肩の負担増 |
| 肩が固い | 背中が余計に丸まりストリームラインが崩れる/胸が開かず呼吸が浅く/ストロークが小さく推進力が落ちる |

どっちが固くても、結局は悪循環なんですね…。全部やるのは大変そう。

大丈夫、だからこそ背中と肩をセットで少しずつ緩めていくのが近道なんです。あれもこれもより、その方がラクに続きますよ。
まとめ|背中と肩をセットでほぐすメリット
背中と肩の両方の柔軟性を高めると、水泳のパフォーマンスにこんなメリットがあります。
- ストリームラインの改善 → 水の抵抗が減り、効率的に泳げる
- 肩甲骨の可動域向上 → ストロークが大きくなり推進力アップ
- 疲労軽減 → 力みが減り、長時間の練習でも楽に泳げる
- 呼吸がしやすくなる → クロールやバタフライの息継ぎがスムーズに
- ケガの予防 → 無理な動きによる肩や腰の故障リスクを減らせる

5つもメリットが!これなら本気で取り組む価値がありますね。

特に胸椎の柔軟性と肩甲骨の可動域。この2つが理想の泳ぎに近づくポイントですよ。

まずは背中のストレッチから、無理のない範囲で始めてみます。

それでいいんです。少しずつで十分。ただ、肩や腰に痛みがある場合は無理をせず、専門家に相談してくださいね。

肩の悩みの正体が背中だったなんて、目からウロコでした。続けてみます!
背中の柔軟性は見過ごされがち。でも、胸椎と肩甲骨をしなやかに保つことが、理想の泳ぎへの一番の近道です。



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