
コーチ、スタートやターンのあと、浮き上がるときってドルフィンキックのままでいいんですか?途中でバタ足に切り替えたほうが速いんですか?

お、いい疑問だね。実はそれ、多くの競泳選手が悩んでるテーマなんだよ。

結論から言うね。最速なのはドルフィンキックからバタ足への素早い切り替えだよ。

切り替えたほうが速いんですね!じゃあ全部バタ足でガンガン蹴っちゃえば…!

待って待って、そこが今日一番の落とし穴なんだ。焦って全部バタ足にすると逆に遅くなるよ。
タクミさんはすぐ結果を出したくて飛ばしがち。でも浮き上がりは「順番」と「タイミング」がすべて。まずは全体像を整理しておこう。
まず結論|浮き上がりはドルフィン→バタ足
- 浮き上がりはドルフィンキックが最速だが永遠ではない
- 失速する前にバタ足へ切り替える
- トップ選手の切り替えと、よくあるミスに注目する
ドルフィンが最速。でも失速する前にバタ足へ切り替える。

「失速する前に」がカギなんですね。

その通り。ここからひとつずつ、根拠も一緒に見ていこう。
まずは大前提から。競泳で「一番速く進める動きは?」と聞かれたら、多くのコーチや選手が「水中ドルフィンキック」と答える。これは感覚の話ではなく、実測データではっきり示されている。

それって結局、感覚とか経験の話じゃないんですか?

いや、データで出てるんだ。トップスイマーの無呼吸・グライド状態での測定値を見てみよう。
| キックの種類 | 平均速度(m/s) |
|---|---|
| ドルフィンキック(水中) | 約1.41 m/s |
| フラッターキック(水中) | 約1.21 m/s |
※エリート男子スイマー8名を測定した研究の値。数値は選手や条件で変わりますが、水中ではドルフィンキックのほうが速いという結果は多くの研究で一致しています。

ドルフィンが約1.41で、フラッターが約1.21…はっきり差がありますね!

そう。だからスタートやターン直後の加速局面では15m以内で最大限ドルフィンキックを使うのが今のセオリーなんだ。
ただし問題はここから。「そのままドルフィンで浮き上がっていいのか?」——実はそうでもない。水面に近づくにつれて、ドルフィンのメリットが薄れてくるからだ。
なぜバタ足への切り替えが必要?
- 水面に近づくと水の抵抗が増える(造波抵抗)
- ドルフィンキックとクロールのストロークは連動しづらい
- 水面直下ではドルフィンの波動が逃げて、推進力が分散しやすい

じゃあ、そのままドルフィンで浮き上がっちゃうと…?

「体は浮く」けど「推進力が切れる」状態になっちゃうんだ。スピードがふっと抜ける感じだね。

あー、それ僕、心当たりあります…浮いた瞬間に失速してる気がする。

だからこそバタ足の出番。バタ足はストロークと同時に使うことで最大限に活きるキックなんだよ。
ドルフィンからバタ足へ切り替えると、ストロークとタイミングが合いやすくなり、水面で連続した推進力が得られる。結果、スピードの落ち込みを防いでスムーズに加速できる。
水中はドルフィンで最高速、水面へ出る“最後の瞬間”にバタ足とストロークへスイッチする。

なるほど、水中はドルフィン、水面に出る瞬間にバタ足ですね。

そう。じゃあトップ選手が実際どう切り替えてるか、理想の流れを見てみよう。
水中ドルフィン→バタ足→ストローク。この“浮き上がりの流れ”をうまくつなげると、水中から滑り出すような動きになって、まったくスピードが落ちない。
浮き上がりの理想的な流れ
- 最後のドルフィンキック
- 水面直前で素早くバタ足に切り替え
- バタ足への切り替えと同時に最初のストローク
- そのままストロークのリズムに乗って浮き上がりへ

大事なのはね、「ドルフィンが止まってから切り替える」んじゃない。ドルフィンの推進力を残したままバタ足にバトンを渡すイメージなんだ。

バトンを渡す…!それはイメージしやすいです!

この流れが途切れると「動作の切り替え」じゃなく動きの分断になって、スピードが落ちちゃうんだよ。
逆に言えば、ちょっとしたタイミングのズレで推進力を大きく失ってしまう。ありがちなミスと、その影響を表にまとめておこう。
よくあるNGパターン
| ミス | どうなる? |
|---|---|
| バタ足に切り替えるのが遅すぎる | ドルフィンのまま水面に出てしまい、最初のストロークに力が伝わらず加速できない |
| 早すぎるバタ足切り替え | まだ深い位置でバタ足になり、推進力のロス+抵抗増(浮き上がる角度も浅くなる) |
| ストロークとキックのタイミングが合っていない | 腕と脚がバラバラに動き、水に逆らう=ブレーキになることも |
| 切り替えを“止めてから”行っている | 推進力が一度ゼロになり、加速し直すため大きなロスが生まれる |

「切り替えが遅すぎる」…僕もやってる気がします。あと早くやりたくて逆に早すぎるパターンも…。

タクミさんらしいね(笑)。急ぐ気持ちはいいけど、浮き上がりは“急ぐ”より“つなぐ”だよ。
- ドルフィンの最後のひと蹴りは水面に近づいた直後がベスト
- バタ足は「蹴り終わった瞬間」に即切り替える
- ストロークは「1回目のバタ足とほぼ同時」に始めると◎
- 一連の動きとして“つなげる”意識を持つ

この浮き上がりの感覚、どうやって練習すればいいですか?

キック感覚を養うにはフィンを取り入れるのもおすすめだよ。詳しくはアリーナ スイムフィンの解説ページを見てみてね。
まとめ|浮き上がりで速くなる基本ルール
自由形の浮き上がり(ブレイクアウト)で速さを保つコツは、「水中ドルフィンキックの強み」と「バタ足・ストロークへの連動」をどう自然につなぐか。ポイントをもう一度、表で整理しておこう。
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 15m以内はドルフィンキックで最大加速 | 水中では最も速く進めるキックだから |
| 水面に近づいたら素早くバタ足に切り替える | ストロークとの連動で推進力を落とさずに済む |
| 最初のバタ足と同時にストロークを開始 | 動きが自然につながり、加速の流れが生まれる |
| 一連の動作として“つなぐ意識”を持つ | 動作の切れ目=スピードロスにつながるから |

今日から意識できるヒントはこの3つだよ。
- ドルフィンの「最後の1回」は“助走の最終ギア”
- バタ足は“浮き上がりに向けた橋渡し”
- ストロークは“そのまま加速を持続させるエンジン”
止まらず・迷わず・一息でつなげれば、浮き上がりはもっとスムーズに、もっと速くなる。

「止まらず・迷わず・一息で」ですね!さっそく練習で意識してみます!

いいね。でも初日から飛ばしすぎて肩を痛めないように、そこだけは落ち着いていこう!



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