トップ選手のクロールを見ると、左右の腕が同じテンポではなく、片側で少し間を取る泳ぎがあります。一般に「ギャロップ泳法」「ローピング」と呼ばれるリズムです。

あの左右差をまねすれば、僕も速くなれますか?

見た目だけをまねするのは早いよ。まず、その左右差で速さがつながっているのか、息継ぎで崩れているだけなのかを見分けよう。
先に答え
左右差があっても、まっすぐ進み、呼吸で前の手が落ちず、後半までペースを保てるなら、その人のリズムとして活かせます。蛇行や失速が出るなら、ギャロップを覚える前に呼吸と入水を整えます。
ギャロップ泳法とは
左右の腕の動くタイミングがそろわず、一方の手を前に置く時間が長く見えるクロールです。呼吸、ローリング、キャッチ、キックが合わさり、馬が駆けるような独特のリズムに見えることから、この名前で呼ばれています。
決まった1種類のフォームではありません。呼吸側で少し間を取る人、反対側のキャッチを早く始める人など、左右差の出方は選手によって変わります。
片側呼吸との違い
片側呼吸をしていても、両腕のタイミングがほぼ同じ人はいます。反対に、呼吸を入れない区間でも左右差が残る人もいます。片側呼吸とギャロップは同じものではありません。

僕は右呼吸なので、右側で間ができています。これはギャロップですか?

名前をつける前に、息継ぎで左手が沈んでいないか見よう。前の手で体を支えているなら、速くなるためのリズムではなく呼吸の崩れかもしれないよ。
左右差を残すか直すか
| 残してよい左右差 | 先に直したい崩れ |
|---|---|
| 目標ペースを保てる | 呼吸側だけ毎回減速する |
| レーンの中央を進める | 入水が中央を越えて蛇行する |
| 呼吸しても前の手が残る | 息継ぎで前の手を下へ押す |
| 後半も同じリズムで泳げる | 疲れると片腕だけ短くなる |
コーチ視点のポイント
左右を同じにすること自体がゴールではありません。左右差を変えたとき、タイム、ストローク数、進行方向、呼吸のしやすさがどう変わるかで判断します。
向きやすい人
- 普段から左右差のあるリズムで、目標ペースを保てる
- 呼吸しても頭と前の手が安定している
- キックとキャッチのタイミングが左右差に合っている
- レース後半でも蛇行せず、同じリズムを再現できる
まねする前に直したい人
- クロールを始めたばかりで、入水位置がまだ安定しない
- 息継ぎのたびに頭が上がり、体が沈む
- 片側の手が頭の中央を越えて入る
- 片側の肩や首へ負担が集まる
- 疲れると左右差が急に大きくなる

左右差があるだけでは、武器かどうか分からないんですね。どう比べればいいですか?

25mを3パターンで泳いでみよう。極端な形を作らず、普段の泳ぎから少しだけ変えて比べるよ。
25mを3本ずつ比べる
| 25m | 泳ぎ方 | 記録すること |
|---|---|---|
| A | 普段のリズム | タイム・ストローク数・呼吸回数 |
| B | 左右の間をそろえる | まっすぐ進めるか・息のしやすさ |
| C | 普段の呼吸で、前の手を急いで落とさない | Aより楽か・後半も形が残るか |
各パターンを2〜3本、十分に休みながら行います。1本だけの最速タイムではなく、同じリズムを繰り返せるかを見ます。プールで撮影できる場合は、横と正面から短い区間を確認すると分かりやすくなります。
動画で見る5か所
- 左右の手が入る位置
- 呼吸側で前の手が沈むタイミング
- 胸と腰が一緒に回っているか
- キックが呼吸側だけ大きく開いていないか
- 後半に片腕の水中動作が短くなっていないか
ギャロップのリズムを試す練習
前の手を落とさない片手クロール
片腕を前へ伸ばし、反対の腕だけで25mを泳ぎます。息継ぎのときに前の手を押し下げず、胸の回転で口を水面へ出します。左右2本ずつ行います。
25mゆっくり+25mレースペース
前半は左右の入水位置を整え、後半は普段の呼吸でテンポを上げます。速くなったときも左右差が同じか、片側だけ崩れるかを確かめます。
反対側呼吸は低速で確認
反対側の呼吸が苦手なら、速さを落として短い距離で試します。左右差を消すためではなく、普段の呼吸側で何が変わっているかを知る練習です。
ジュニア・マスターズ・オープンウォーター
- ジュニア:トップ選手の形を固定せず、左右呼吸とまっすぐ進む基礎を優先
- マスターズ:左右を無理にそろえず、肩や首へ負担が集まらないリズムを探す
- オープンウォーター:波やブイを見るため、反対側呼吸と前方確認も練習する
まとめ

次は左右差を大きくするのではなく、普段・左右をそろえる・前の手を残す、の3つを比べます。

それがいいね。ギャロップは形から入る泳ぎではなく、自分に合う速いリズムを探した結果として残るものだよ。
判断の基準
速い、まっすぐ、呼吸で崩れない、後半も続く。この4つがそろう左右差なら活かし、崩れるところがあれば先にそこを直します。
息継ぎで体が沈む方はクロール呼吸で沈む原因、吐き方から見直したい方は水泳の呼吸の基本もご覧ください。



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