
競泳は全身運動であり、水中の浮力によって関節や筋肉への負担が比較的少ないスポーツとされています。しかし、反復動作や特定のフォームによる過度な負荷がかかることで、腰に障害が起こるリスクもあります。
本記事では、競泳によって引き起こされる可能性のある腰の故障や怪我の種類と、それぞれの原因を詳しく解説します。
1. 競泳で腰を痛める主な原因
競泳における腰痛の発生要因は大きく分けて以下の4つが挙げられます。
✅ 過度な腰の反り(過伸展)
✅ 捻り動作の繰り返し
✅ 筋力・柔軟性のアンバランス
✅ 陸上トレーニングの影響
これらの要因が組み合わさることで、競泳選手は慢性的な腰痛や怪我を引き起こす可能性があります。
2. 競泳による腰の故障と考えられる原因
① 腰椎分離症(すべり症)
《主な原因》
- 腰の過伸展(反りすぎ)を繰り返すことで、腰椎の疲労骨折が発生
- バタフライや平泳ぎのキック動作で腰を反らせすぎる
- スタートやターン時の強いアーチ姿勢(スタートの飛び込み時やターン後の浮き上がり)
《症状》
- 腰の鈍痛や重だるい痛みが続く
- 後ろに反ると痛みが悪化
- 無症状のまま進行するケースもあり、長期間のオーバーユースで発症
② 椎間板ヘルニア
《主な原因》
- 腰に強い圧力が加わる動作の繰り返し
(例:ターンの壁蹴り、スタートの着水時の衝撃) - 腰の過伸展+捻り動作の組み合わせ
(特に体幹を捻る動作が多い選手)
《症状》
- 腰から足にかけての痺れや痛み
- 前屈や中腰姿勢で痛みが強くなる
- 重度になると歩行時にも影響が出る
③ 腰椎捻挫(筋・靭帯の炎症)
《主な原因》
- スタートやターン時に急激な力が加わることで、腰の筋肉や靭帯が損傷
- 無理な姿勢での反復運動(バタフライの強いキックやクロールのオーバーストローク)
- 筋力不足のまま負荷の高いトレーニングを行う
《症状》
- 腰に鋭い痛み(急性の痛み)
- 動作時に痛みが強まり、安静時には軽減
- ひねる動作や立ち上がる動作で痛みが出ることも
④ 腰方形筋の筋膜炎(筋肉の炎症)
《主な原因》
- 長時間の泳ぎ込みによる疲労の蓄積
- クロールの片側呼吸で片側の筋肉ばかり使っている
- 腹筋と背筋のバランスが崩れ、腰への負担が増加
《症状》
- 腰の片側が張っているような違和感
- 練習中・後に痛みが増すが、安静にすると落ち着く
- 筋肉を押すと痛みを感じる
⑤ 仙腸関節障害
《主な原因》
- ターン時の片足蹴り(壁を蹴るときに左右差がある)
- 片足でのキックの強弱バランスが崩れている
- クロールや背泳ぎの体幹回旋による歪み
《症状》
- 腰よりやや下の部分(お尻付近)に痛みを感じる
- 長時間座っていると痛みが増す
- 動作開始時に鋭い痛みを感じることが多い
3. まとめ
競泳による腰の故障は、主に「腰の過伸展」「捻り動作の反復」「筋力や柔軟性のアンバランス」「陸上トレーニングの影響」などが原因となります。
症状 | 考えられる障害 | 主な原因 |
---|---|---|
腰の鈍痛・重だるい痛み | 腰椎分離症(すべり症) | 腰の反りすぎ・ターンやスタートの強いアーチ姿勢 |
腰から足の痺れや痛み | 椎間板ヘルニア | 強い圧力+過伸展&捻りの組み合わせ |
突然の腰の鋭い痛み | 腰椎捻挫(筋・靭帯の炎症) | 急激な負荷・無理な姿勢での反復運動 |
片側の腰の張り・違和感 | 腰方形筋の筋膜炎 | 片側の筋肉ばかり使う・長時間の泳ぎ込み |
腰より下のお尻付近の痛み | 仙腸関節障害 | 片足の蹴りの偏り・体幹の歪み |
特に、バタフライや平泳ぎを専門とする選手、ターンやスタートの衝撃が強い選手は、腰にかかる負担が大きくなりがちです。
次回の記事では、「競泳選手のための腰痛予防対策」 について詳しく解説します!
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