
競泳は、水の中で優雅に泳ぐスポーツのように見えますが、実は身体にかかる負担が大きい競技のひとつです。特に腰への負担は見落とされがちですが、バタフライのドルフィンキックや背泳ぎのストリームライン、さらには飛び込みやターン時の衝撃など、競泳特有の動作が腰に大きなストレスを与えています。
こうした負担が蓄積すると、腰に痛みを感じるようになり、放置すると「腰椎分離症」と呼ばれる障害につながることも。これは、特に競泳選手に多く見られる疲労骨折のひとつで、一度発症すると長期間のリハビリが必要になることもあります。
では、なぜ競泳選手に腰椎分離症が起こりやすいのか? そして、それを防ぐためにどんな対策をすればよいのか? 今回は、競泳における腰椎分離症のリスクとその予防法について詳しく解説します。
1. 腰椎分離症とは?
腰椎分離症(ようついぶんりしょう)は、腰椎の椎弓(ついきゅう)部分が疲労骨折することで発生する障害です。特に競泳選手のように繰り返し腰を反らせる動作が多いアスリートに多く見られます。
【主な原因】
- 過度な腰の伸展(反らしすぎ)
背泳ぎのストリームラインやバタフライのドルフィンキックなど、腰を反らせる動作を繰り返すことで負担が蓄積します。 - 着水時の衝撃
飛び込みやターン時の強い衝撃が腰椎に負荷をかけることがあります。 - 股関節の柔軟性不足
柔軟性が足りないと、腰が過剰に動いてしまい、負担が集中します。 - 筋力不足やアンバランス
体幹(特に腹筋・背筋)のバランスが崩れると、腰に負担が集中します。
2. 競泳で起こりやすい腰への負担とリスク
競泳では水の浮力があるため、陸上競技よりも腰への負担が少ないと思われがちですが、実際には以下のような動作が腰に大きな負担をかけています。
動作 | 腰への影響 |
---|---|
バタフライのドルフィンキック | 腰を大きく反らせるため、過度な伸展が発生 |
背泳ぎのストリームライン | 背筋が強く反ることで、腰椎に圧力がかかる |
平泳ぎのキック | 股関節の柔軟性が低いと、腰をひねる動作が強くなる |
飛び込みやターン | 着水・ターン時の衝撃で腰にダメージが蓄積 |
このような動作が長期間続くことで、腰椎の疲労骨折が進行し、腰椎分離症へと発展することがあります。
3. 腰椎分離症を防ぐための姿勢チェック
競泳選手は日常の姿勢やストレッチの仕方によって、腰への負担を軽減できます。まずは自分の体の動きをチェックしましょう。
✅ 反り腰チェック
壁に背中をつけた状態で立ち、腰の隙間が大きく空いている場合は要注意!
- 理想的な姿勢:腰と壁の間に手のひら一枚分のスペース
- 反り腰の可能性:手のひらがスッと入る、または拳が入るレベル
✅ 前屈・後屈の可動域
- 前屈時:手が床につかない、または腰に違和感があると柔軟性不足
- 後屈時:腰だけで反るのではなく、背骨全体を使えているか
4. 腰を守るためのエクササイズ
腰椎分離症を防ぐためには、ストレッチと体幹トレーニングが重要です。以下のエクササイズを日常的に取り入れましょう。
🟢 ストレッチ(腰への負担を減らす)
✅ 胸郭ストレッチ(上半身の可動域を広げる)
- 床に座り、片手を上げて体側をゆっくり伸ばす。
- 体を斜めに倒しながら30秒キープ。
✅ 股関節ストレッチ(骨盤の柔軟性を向上)
- 片膝をついて、前足の膝を直角に曲げる。
- ゆっくり前に体重をかけ、股関節を伸ばす。
✅ ハムストリングスストレッチ(腰への負担軽減)
- 仰向けで寝て、片足を持ち上げる。
- タオルを使って足を支えながら、もも裏を伸ばす。
🔵 トレーニング(腰を支える筋力強化)
✅ ドローイン&片足上下スイング(体幹の安定)
- 仰向けで寝て、片足を軽く上げる。
- 腰が浮かないように腹筋を締めながら足を上下に動かす。
✅ フロントブリッジ(プランク)(腹筋・背筋の強化)
- 肘をついて体をまっすぐキープ。
- 30秒×3セットを目標に。
5. まとめ
腰椎分離症は、競泳選手にとって避けたい障害の一つですが、正しいストレッチと筋力トレーニングを継続することで予防が可能です。
✅ 競泳で腰を痛める主な原因
- バタフライや背泳ぎの過度な反り
- 飛び込みやターン時の衝撃
- 股関節の柔軟性不足
✅ 予防のためにできること
- 正しい姿勢を意識する
- 日常的なストレッチで柔軟性を向上
- 体幹トレーニングで腰を支える力を強化
競技を続けながらも、腰への負担を最小限に抑えるために、今日からできることを始めましょう!


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