みなさん、こんにちは!今日も元気に泳いでいますか?
今日はみなさんに骨盤の前傾・後傾についての話をしたいと思います。
まずみさなんにお聞きしたいのですが、骨盤の前傾・後傾については聞いたことありますか?
少なくとも、僕のレッスンを受けたことがある人はもちろん聞いたことがあるという人も多いんじゃないかと思います。
とってもわかりやすく簡単に説明すると以下のような感じです。

前傾=骨盤が前に倒れる/後傾=骨盤が後ろに倒れる
(立った状態なら、前傾は反り腰・後傾は猫背に近いイメージ)
“自然な姿勢”ってどうなってるの?

そもそも、人の骨盤って何も意識しなければどんな角度になっているんでしょうか?
私たちの体は、軽く前傾した骨盤が自然な状態になっています。立ったときに、背中がほんのり反っていて、お尻が後ろに突き出すような形がそれです。
つまり、「完全な真っ直ぐ」な姿勢が自然なのではなく、腰がちょっと前に倒れているくらいが一番“省エネ”で立てる構造なんですね。
姿勢が崩れる理由は日常のクセにあり
でも、現代人の多くはこの“自然な前傾”がうまく保てていません。原因は日常生活にあります。
【骨盤が前傾しすぎる人】
- 長時間立ちっぱなし
- ヒールの高い靴をよく履く
- 反り腰の姿勢がクセになっている
→ 結果、お腹が突き出て腰が反り、脚が疲れやすくなる
【骨盤が後傾しすぎる人】
- 長時間のデスクワーク(座りっぱなし)
- 猫背でのスマホ操作やPC作業
- 腰の筋力や柔軟性の低下
→ 結果、お尻が落ちて背中が丸くなり、体幹が使えない
どちらも水泳においては大敵。なぜなら、“ニュートラルな状態に戻せない”と、正しいフォームに入りにくいからです。
骨盤の角度が泳ぎの進路を左右する
そして、水の上をまっすぐ滑るストリームライン―あの姿勢を細かく操縦しているのは、実は腰骨の“わずかな角度”です。自分の意志で 骨盤を前傾(ぜんけい)・後傾(こうけい) できるかどうかは、推進力・抵抗・呼吸動作……ほぼすべての要素にジワジワ効いてきます。
ストリームラインと骨盤の角度
スタートやターン直後、一番スピードが乗る局面では「体を一直線に保つこと」が鉄則です。
- 前傾が強い → 腰が反ってお腹が下がり、足先が上がることで抵抗アップ。先に足が浮いてきてしまう可能性も・・・
- 後傾が強すぎる → 壁をしっかりと蹴れず膝が曲がり、下半身が下がって推進力が落ちる
絶妙な“中間ポジション”に骨盤を置ける選手ほど、水の流れを切り裂くように進めます。
キック効率のカギを握る
キックは「腰から下をしならせるムチ」。骨盤の角度が変わると──
骨盤状態 | どうなる? | 泳ぎへの影響 |
---|---|---|
過度な前傾 | 腰椎が反る/お尻が落ちる | ビート板キックで脚が沈むタイプに多い。 バタ足がバシャバシャ音ばかりで進まない |
適度な後傾 | 腹圧が入り、股関節がまっすぐ伸びる | しなやかなドルフィンキックが可能。 水面直下で“カシャン”と水が切れる感覚が得られる |
過度な後傾 | 股関節が曲がり膝が先行 | キックが小刻みになり推進力が弱まる |
ローリングと呼吸動作
クロールや背泳ぎの ローリング(体を左右にひねる動き)は、腰を軸に連鎖して起こります。
- 骨盤を中立〜軽い後傾に保つと、肩甲骨から腰までが一本の“回転シャフト”。左右対称のストロークが可能
- 前後どちらかに倒し込んだまま固定すると、左右バランスが崩れ、呼吸側だけで肩が沈みやすい
呼吸で腰が落ちてしまう人は、腰椎が反る癖(=過前傾)を抱えているケースが大半です。
ターンでの減速を最小限に
クイックターンでは 膝を抱え込む瞬間に自然な後傾 が発生し、そのまま壁を蹴った直後に骨盤がスッと中立へ戻る――この“自動切り替え”ができると、ターン後の失速が激減します。
意識していないのにスムーズに移行できる選手ほど、ターン後にグンと伸びたまま浮き上がってきます。
意識できる=競技幅が広がる
シチュエーション | 前傾を「選択」できると… | 後傾を「選択」できると… |
---|---|---|
バタフライの入水直後 | 胸をわずかに反らせ、水面へ戻るタイミングを早くする | — |
平泳ぎのプル→キック移行 | — | 腰を丸めて脚を引きつけやすくし、抵抗を減らす |
フィン練習でのドルフィン | — | 腹圧でフィンを水面近くに保ち、大きな振れ幅をキープ |
パワートレーニング(チューブPull) | 軽く前傾して背筋主導で水を押し切る感覚を養う | — |
“どちらの角度も使い分けられる”ことで、泳法ごとに最適なラインを作りやすくなり、練習の幅もグッと広がるわけです。
やみくもに「後傾!」は危険信号
骨盤を後傾させることが正しい姿勢なら
「お尻を締めて骨盤を後傾させる」
ことだけをただひたすらに意識してればいいのかというと、それもまたちょっと違います。
多くの場合で腰が丸まる→膝が曲がる→推進力ダウンの坂道を転げ落ちます。
重要なのは「腹圧→骨盤ポジション→手足の連動」という順番で体を整えること。後傾そのものは目的ではなく、あくまで効率を高める『結果』です。
「正しい姿勢に戻せる」が大前提
だからこそ、競泳においては
❌「反り腰を治せばいい」
❌「常にお尻を締めればいい」
ではなく、
✅ 「今の自分の骨盤の傾きがどちら寄りかを知って、適切に調整できるようにする」ことが大切なんです。
その第一歩として、立った状態やプールサイドで
・お腹を軽く締める
・骨盤を前傾・後傾に揺らしてみる
このような“地味な動作”を、まずは試してみると、泳ぎへのヒントが自然と見えてくるはずです。
まとめ─骨盤を“操縦”できれば水が変わる
- 前傾・後傾はスイッチ
種目・局面ごとに適量を選ぶことで、抵抗減少と推進力アップが両立。 - 中立+腹圧が基本
体幹を締めたうえで、ほんのり後傾が水泳のゴールデンポジション。 - 意思で切り替えられると武器
ローリングの軸、キックの伝達、ターン後の伸び――あらゆる動きがスムーズに。
「骨盤ってこんなに重要だったのか!」と気づいたら、まずは鏡の前やプールサイドで“前傾・後傾シフト”をゆっくり繰り返し、自分の感覚と言葉を結びつけてみてください。
どんな難しいドリルより、自分の体を理解することこそが最速の上達ルート―僕はそう信じています。
さあ、次にプールへ行く日、ひとかき目の伸びがどう変わるか……楽しみに試してみてくださいね!
もし骨盤の動きがうまくつかめなかったら、個人レッスンで一緒に確認しましょう!
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