ギャロップ泳法とは

「ギャロップ泳法」って聞いたことある?
一見すると普通のクロールと変わらないように見えるかもしれないけど、実はこれ、左右非対称のリズムで泳ぐちょっと特殊なクロールなんだ。ストロークのタイミングが左右でズレていて、片側に「一瞬のタメ」が入るのが最大の特徴。
泳ぎのリズムがポンポンっと跳ねる感じに見えるから、馬が駆ける「ギャロップ」という言葉が名前の由来になっているよ。
実は、英語では「ローピングフリースタイル」や「ハイブリッドクロール」と呼ばれることもある。
この泳ぎ方、世界のトップスイマーたちも実際に使っているスタイルでもあるんだ。
ギャロップクロールのルーツと広まり
実はこの泳ぎ方、いつ誰が始めたのか、ハッキリした“発明者”はわかっていないんだ。でも、2000年代のアメリカで活躍していた水泳クラブ「The Race Club(レースクラブ)」が、この非対称なクロールに注目して「ハイブリッドフリースタイル」と名付けて紹介したのが最初だと言われてるよ。
このクラブには、あのゲイリー・ホール親子(Sr. & Jr.)も関わっていて、彼らが「速く泳ぐにはストロークの左右差も活かせる」と提案したのがきっかけ。
その後、マイケル・フェルプスが200メートルや400メートル自由形でこのスタイルを取り入れて、世界記録を連発したことから一気に有名になったんだ。
さらにその後、スプリンターのケーレブ・ドレッセルやポポビッチも、ギャロップ泳法で加速するシーンが見られるよ。つまり、中距離だけじゃなくて短距離でも使えるテクニックになってきてるってこと!
ギャロップクロールの動き、何が特別?
普通のクロールって、右と左の動きがほぼ同じ「左右対称」なリズムで泳ぐよね。でも、ギャロップクロールは“ちょっとだけズレてる”のがポイント。
たとえば、右手を入水してキャッチ(かき始め)をするタイミングで、左手はすでに水を押し終わって空中を戻っている、みたいな感じ。これに合わせて、体幹(お腹や背中まわり)もちょっとだけ“うねる”ように上下するんだ。
このズレによって、ギャロップクロールではこんな特徴が出てくるよ:
特徴 | 内容 |
---|---|
キャッチの時間が長くなる | 利き手側でしっかり水をつかめる(深く長く) |
呼吸が片側固定になることが多い | 安定感が出る代わりに、非対称な動きが生まれる |
体幹が軽く上下する | 馬が走るような跳ねるリズムに見える |
ストロークリズムが左右で違う | 長く・ゆっくり引く側と、速く・短く引く側がある |
つまり、片側でじっくりパワーをかけて、もう片側はテンポよくリズムをつくるっていう組み合わせ。これができると、スピードを落とさずに、しかも無理なく長く泳げるってわけ。
💡ちなみに、この泳ぎ方はキック(足のバタ足)との相性も大事。体幹が上下するぶん、キックもバタバタ大きく打つより、小さくしめたキックの方が効率がいいって言われてるよ。
ギャロップクロールのメリットって?
「わざわざ左右の動きをズラす意味あるの?」って思うよね。でもギャロップクロールには、トップスイマーたちが実践するだけの**ちゃんとした理由(メリット)**があるんだ。
ひとつずつ見ていこう!
メリット | 詳しい内容 |
---|---|
① ストロークが深くて長くなる | 利き腕側のキャッチに“タメ”ができるから、水をしっかり後ろに押し出せる。結果的に1回で進む距離が増える! |
② 呼吸リズムが安定する | 片側呼吸が基本になるから、酸素の取り入れ方が安定して、持久力を保ちやすい |
③ スピードと省エネのバランスがいい | ハイピッチで泳がなくてもスピードが出せるから、体力の消耗が少なくなる |
④ レース展開に幅が出る | 中盤はじっくり進んで、ラストでピッチを上げる…みたいなギアチェンジがしやすい |
特に中距離(200m・400m)では、これらのメリットがすごく生きる!
長く、速く、安定して泳ぎ続けるための工夫として、ギャロップはめちゃくちゃ効果的なんだよね。
ギャロップクロールの注意点(デメリット)
見た目はかっこいいギャロップクロールだけど、使いこなすにはちょっとクセがある…。うまく使いこなせないと、逆に泳ぎがバラバラになってしまうこともあるんだ。
デメリット | 内容 |
---|---|
① 左右差が目立ちやすい | 利き腕側に頼りすぎると、筋力バランスが崩れてケガの原因に(肩や腰の負担が片寄る) |
② きれいに見えにくい | スイムチェックで「フォームが乱れてる?」と誤解されることも。特にジュニアスイマーやマスターズの検定ではマイナス評価されがち |
③ 初心者には再現がむずかしい | 体幹の軸がブレやすく、泳ぎの安定感がなくなることも。左右のタイミングをコントロールする感覚が必要 |
④ 呼吸が片側に固定される | 片側しか見えないと、レース中の周囲状況やターゲット選手を見落としやすい(特に屋外の波がある場面で不利) |
特に気をつけたいのは「自分に合うかどうか」。
ギャロップは、見た目だけマネしてもうまくいかない場合が多いんだよね。まずは自分の泳ぎのベースがしっかりしているか、利き腕がどちらか、片側呼吸に違和感がないか…などをチェックしてから取り入れてみよう!
ギャロップクロールがハマるのはこんなスイマー!
ギャロップクロールって、実は全員に合うわけじゃないんだよね。
じゃあ、どんなスイマーに向いているのか?ここでチェックしてみよう!
向いている人のタイプ | 理由・特徴 |
---|---|
🏊♀️ 中距離タイプ(200m~400m) | 1ストロークでしっかり進みたい人にピッタリ。スタミナとスピードのバランスが必要な距離で力を発揮しやすい |
🧠 左右で得意・不得意がある人 | 利き腕のパワーを活かしやすい泳法。左右の筋力バランスに差がある人にはむしろメリットになることも |
💨 終盤にスパートをかけたい人 | ギャロップのリズムで泳いでおいて、ラスト50mだけピッチを上げる…という“ギアチェンジ”戦略が可能 |
🫁 片側呼吸が得意な人 | 呼吸をいつも同じ側でしても安定感があるタイプなら、ギャロップとの相性バッチリ |
💪 パワー型 or キックが強い人 | 水面にしっかり乗ってガンガン進めるタイプは、ギャロップの“跳ねるような推進”が武器になるよ |
逆に、こんなタイプはちょっと工夫が必要かも:
- 🧍♂️「泳ぎの軸」がまだ定まっていない初心者
- 🔄 まっすぐ対称に泳ぐことを重視している選手(検定重視の場合など)
- 🌊 波や外乱がある中で左右の視界を使い分けたいオープンウォータースイマー
💡ギャロップは“スタイル”であって“正解”ではないというのがポイント。
すべての人が取り入れる必要はないけど、「自分の特性を活かせそう」と感じたら、ぜひチャレンジしてみる価値はあるよ!
レースではどう使う?ギャロップクロールの実践的な使い方
ギャロップクロールって、レース全体を通してずっと使い続けるというよりは、場面に応じて使い分けることも多いんだ。
特に、200mや400mのレースではこの“切り替え”が勝負を分けるカギになることも!
🌊 レース展開に合わせた使い方(例:200m自由形)
スタート直後(0〜15m)
↓
【高テンポ×6ビートキック】で勢いよく浮上!
→ ここでは対称型でスピード優先
↓
中盤(25〜150mあたり)
↓
【ギャロップクロール】に切り替えてリズムを整える
→ 呼吸も安定、ストロークの効率UP
↓
終盤(ラスト50m)
↓
【再び対称型+ハイピッチ】でスパート!
→ テンポを上げて最後の勝負に持ち込む
このように、状況に合わせてギャロップ⇔通常クロールを使い分けることで、体力を温存しつつもラストで爆発的なスピードが出すなんていう使い方もできるんだよ。
💡特に「ラスト50mの伸び」が武器の選手にとって、ギャロップはその助走にもなるスタイルってこと!上記は一例だけど、自分のスタイルと合わせた戦略次第でいくらでも応用ができそるってことだね!
よくある疑問&誤解あるある
ギャロップクロールって、あまり馴染みのない泳法だからこそ、いろんな疑問や勘違いがつきもの。ここでは、実際によくある声にわかりやすく答えていくよ!
Q. ギャロップってフォームが崩れてるってこと?
A. いいえ!むしろ意図的にズラしてるんです。
泳ぎが左右対称じゃないと「下手に見える」と感じる人もいるかもしれないけど、ギャロップは意図的に左右のテンポを変えている戦略的な泳ぎ方。崩れているのではなく、使い分けているんだよ。
Q. 呼吸を片側だけでしてたらギャロップなの?
A. 呼吸だけじゃ足りません!
たしかにギャロップでは片側呼吸が多いけど、それだけではギャロップとは言えないよ。
「左右のストロークにタイミングのズレがあるかどうか」が大事なポイントなんだ。
Q. マスターズスイマーやジュニアでもギャロップを使っていいの?
A. もちろんOK!でも条件つきでね。
ギャロップは、ある程度基礎ができてから取り入れるのがベスト。特に、体幹が安定していること・片側呼吸に慣れていること・左右のフォームを意識できること、これらが整っていれば十分使えるよ。
Q. 自分の泳ぎがギャロップになってるかわからない…
A. ストロークの「左右差」に注目!
動画を撮って、自分の泳ぎを横から見てみよう!
片側の腕だけ、キャッチに入るまでの“間”が少し長いようなら、それはギャロップの兆し。あえてそのリズムを活かす方向でトレーニングするのもアリだよ!
まとめ
ギャロップクロールは、左右対称のフォームにとらわれない、スピードと効率を両立できる進化系の泳法。
「ズラして泳ぐなんて変じゃない?」と思うかもしれないけど、世界のトップスイマーたちはそのズレを武器”に変えているんだ。
しっかりとしたベースがあれば、ギャロップはあなたの泳ぎに新しい風を吹き込んでくれるかもしれない。
ただし、なんでもかんでもギャロップにすれば速くなるわけじゃない。
大切なのは、自分の身体や泳ぎ方に合っているかどうかを見極めること。そのうえで、賢く取り入れれば、レースで一歩リードできるかも!
自分の強みを活かせる泳ぎ方を見つけて、もっと自由に、もっと速く泳げるようになろう!
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