
「スタートやターンのあと、浮き上がるときって、ドルフィンキックのままでいいの?」
「それとも途中でバタ足に切り替えたほうが速いの?」
この疑問、実は多くの競泳選手が悩んでいるテーマなんです。
結論から言うと──最も速いのは「ドルフィンキックからバタ足への素早い切り替え」。
でも、なぜそれが速いのか?タイミングはどのくらい?失敗するとどうなる?
この記事では、最新の研究データやトップ選手の動きも交えながら、「自由形のブレイクアウトで最速を出す方法」をわかりやすく解説していきます!
ドルフィンキックは本当に最速なのか?
競泳で「一番速く進める動きってなに?」と聞かれたら、多くのコーチや選手がこう答えます。
「水中ドルフィンキック」こそが、最も速く・効率的に進める手段だと。
これは感覚や経験だけの話ではなく、実際の研究データでもはっきり示されています。
📊 実測データ:キックの速度比較
キックの種類 | 平均速度(m/s) |
---|---|
ドルフィンキック(水中) | 約1.22 m/s |
フラッターキック(水中) | 約0.99 m/s |
※トップスイマーの無呼吸・グライド状態での測定値(複数研究より平均)
このように、ドルフィンキックの方が明らかに速く進めるため、スタートやターン直後の加速局面では「15m以内で最大限ドルフィンキックを使う」ことが、今の競泳のセオリーになっています。
ただし──
問題は「そのまま浮き上がっていいのか?」という点。
ここからが本題です。
なぜバタ足への切り替えが必要?
水中ドルフィンキックが速いのは事実。
でも、そのままドルフィンキックを続けて水面に浮き上がるのが最善かというと…実はそうでもないんです。
❓ドルフィンキックのまま浮き上がるとどうなる?
確かに、ドルフィンキックの速度は高いけれど、水面に近づくにつれてそのメリットが薄れてくるんです。なぜかというと…
- 💨 水面に近づくと水の抵抗が増える(造波抵抗)
- 🌀 ドルフィンキックとクロールのストローク動作は連動しづらい
- 💧 水面直下ではドルフィンの波動が空間に逃げやすく、推進力が分散しやすい
つまり、水中では速かったドルフィンキックも、水面に出る直前では効率が落ち始める。
ここでバタ足に切り替えずにそのまま浮き上がってしまうと、
👉 「体が浮く」けど「推進力が切れる」状態になるんです。
✅ タイミングよくバタ足へ切り替える
バタ足(フラッターキック)は、ストロークと同時に使うことで最大限に活きるキック。
ドルフィンキックから切り替えることで、
- ストロークとのタイミングが合いやすくなる
- 水面での連続した推進力が得られる
- スピードの落ち込みを防いでスムーズな加速につながる
という流れが生まれます。
つまり、水中ではドルフィンキックで最高速を維持し、水面へ出る“最後の瞬間”でバタ足とストロークへスイッチするのが、今の競泳で最も主流かつ有効な方法というわけ。
トップ選手はどう切り替えている?
水中ドルフィンキックからバタ足、そしてストロークへ──
この“浮き上がりの流れ”は、トップスイマーにとってスピードをつなぐ重要な技術です。
一連の動作が上手くつなげることができれば「水中から滑り出すような」動きで、まったくスピードが落ちません。
浮き上がりの理想的な流れ
textコピーする編集する最後のドルフィンキック
↓
水面直前で素早くバタ足に切り替え
↓
バタ足への切り替えと同時に最初のストローク
↓
そのままストロークのリズムに乗って浮き上がりへ
この切り替えをトップ選手は一瞬で、しかもほぼ無意識でやってのけます。
大事なのは、「ドルフィンが止まってから切り替える」のではなく、ドルフィンの推進力を残したままバタ足にバトンを渡すようなイメージ。
だから、
👉 「最後のドルフィン→バタ足→ストローク開始」までが一連の流れでつながっていることがポイントなんです。
💡この流れが途切れると、「動作の切り替え」ではなく「動きの分断」になってしまい、スピードが落ちてしまいます。
よくあるミスとそのリスク
水中ドルフィンキックからバタ足、そしてストロークへの切り替え。
この「浮き上がりの流れ」がスムーズにできればスピードは落ちません。でも、ちょっとしたタイミングのズレで、推進力を大きく失ってしまうこともあるんです。
ここでは、ありがちなミスとその影響を紹介します。
❌ よくあるNGパターン
ミス | どうなる? |
---|---|
バタ足に切り替えるのが遅すぎる | ドルフィンキックでそのまま水面に出てしまい、最初のストロークに力が伝わらず加速できない |
早すぎるバタ足切り替え | まだ深い位置でバタ足になってしまい、推進力のロス+水の抵抗が増える(特に浮き上がる角度が浅くなる) |
ストロークとキックのタイミングが合っていない | 腕と脚がバラバラに動いてしまい、水の流れに逆らう動きになる=ブレーキになることも |
キックの切り替えを“止めてから”行っている | 推進力が一度ゼロになり、そこから加速し直すため大きなロスが生まれる |
💡失敗しないためのヒント
- ドルフィンキックの「最後のひと蹴り」は水面に近づいた直後がベスト
- バタ足は「蹴り終わった瞬間」に即切り替えること
- ストロークは「1回目のバタ足とほぼ同時に始める」ようにすると◎
- 一連の動きとして“つなげる”意識を持つと、スピードを切らさずに浮き上がれる
まとめと実践のヒント
自由形の浮き上がり(ブレイクアウト)で速さを保つコツは、「水中ドルフィンキックの強み」と「バタ足・ストロークへの連動」をどう自然につなぐかにかかっています。
今回のポイントをもう一度整理すると…
✅ 浮き上がりで速くなるための基本ルール
ポイント | 理由 |
---|---|
15m以内はドルフィンキックで最大加速 | 水中では最も速く進めるキックだから |
水面に近づいたら素早くバタ足に切り替える | ストロークとの連動で推進力を落とさずに済む |
最初のバタ足と同時にストロークを開始 | 動きが自然につながり、加速の流れが生まれる |
一連の動作として“つなぐ意識”を持つ | 動作の切れ目=スピードロスにつながるから |
💡今日から意識できるヒント
- ドルフィンキックの「最後の1回」は“助走の最終ギア”
- バタ足は“浮き上がりに向けた橋渡し”
- ストロークは“そのまま加速を持続させるエンジン”
この3つを止まらず・迷わず・一息でつなげることができれば、あなたの浮き上がりはもっとスムーズに、もっと速くなる!
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