
とても久しぶりにSさんからご連絡をいただきました
「かなり重度にこじれてます。クイックターンをしようとすると突然頭が床で止まるようになり、恐怖でできなくなりました。なんとかしてもらえませんか?」
何やらとてもお困りの様子・・・これはすぐにでも時間を作らなくては!
レッスンで実際に見た症状
ということで、直近で空いている日時にレッスン予約を入れてもらってレッスンを実施してきました
話を聞く限りでは、鼻に水が入ることに対しては抵抗がなく、以前は何も考えずに普通に回れていた
ただ、一度ターンに失敗し床に頭をぶつけてしまってから、どうしても回ろうとすると力が入ってしまってターンができなくなってしまった
とのことらしい
試してわかったこと
一度ターンを試みてもらったのだが、腰を90度曲げてお辞儀をしたように頭を下げた姿勢のまま丸まることもそれ以上進むこともなく静止してしまった
本人が言っているように、これは確かに重症だ
いろいろ試してみてわかったことは
- 補助があれば難なく回れる
- 補助がなくなると力んでしまって回れなくなる
- 補助代わりにビート板を使った場合も力んでしまってうまくいかない
ということ
イップスの可能性
おそらく一度失敗したときの記憶が強く脳内に残ってしまい、いわゆるイップスになってしまっているのだろう
イップス(イップス症状)
心の葛藤(意識、無意識)により、筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼす心理的症状
日本イップス協会
要は「怖いから動けない」というよりも、脳が“危険だ”と判断して無意識に動作をブロックしている状態
この状態になってしまうと、おそらく気合で頑張ったり恐怖を克服しようとやみくもに反復練習をしようと無理に頑張ってしまうと逆効果になる可能性が大!
できていない状態で無理に反復させたりすると逆に変な症状が定着する可能性もあるし、周囲が変な期待をかけたり圧力をかけたりすることも危険
無理に矯正したりせずにできることからひとつずつ、丁寧にゆっくりとリハビリしていくことが重要だと思われる
一応は少しでも手を握るなどの安心材料があれば余計な硬直もなくスムーズに回れるようになっていたので、成功体験の積み上げで”できる感覚”を再構成していくことが必要なんじゃないかな
成功体験の積み上げ(補助あり練習の継続)
ここで、同じように失敗体験からどうしてもうまくできなくなってしまった人のために補助あり練習のポイントを記しておきます
- 誰かが手を添える補助(手を触れておくだけでも効果あり)
- 浮力サポート具(小さめのビート板等)を利用
- ターン練習の成功直後に通常スイムに戻す(繋ぎを作る)
※このとき「補助されてる」という意識をだんだんと減らしていくのがコツ
認知行動療法的アプローチ
その他にも、ご自分でどうにかしたいと考えるのであれば感情と行動を客観的に整理して徐々に誤作動をリセットしていくというのも有効なようです
- 「どの場面で体が止まるか」→記録・分析
- 「今どう感じたか」「何が怖かったか」→言語化
- 「それにどう対処するか」→小さな実験
無理せずゆっくり
なんにせよ、焦りは禁物です
時間をかけて成功体験を積み上げ無理のない範囲で少しずつクイックターンを再習得しましょう!
一緒に克服しましょうね!Sさん!
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