

コーチ、25mや50mまではなんとか泳げるんですけど、続けて100m泳ごうとすると、50mを過ぎたあたりで息が上がって、壁に手をついた瞬間に動けなくなるんです。まわりの方は淡々と泳ぎ続けていらっしゃるのに、わたしだけ毎回ゼーゼーしている気がして…。

ああ、その感覚はよく分かりますよ。「自分は体力がないから」と思って、走り込みを始めたり、家で腹筋したり…いろいろ試されたんじゃないですか?

まさにそれです!でも肝心のプールでは、あいかわらず50mで終わってしまうんです。

実はですね、50mで息が上がる原因は「体力不足」だけじゃないんです。むしろフォームの効率と呼吸のリズムが大きく関わっていることが多いんですよ。それに、プール内でできる持久力の作り方も、ただ長く泳ぐのとは別の選択肢があるんです。今日はそこを、僕が現役で泳いできて意識してきたことと、多くのスイマーを見てきた経験を踏まえて話していきますね。
まず結論|50mで息切れする原因と対策

まず結論からいきますね。50mで息が上がる人に知ってほしいのは、この3つですよ👇

- 50mで息切れする人は「効率」の問題が多い
- 体力不足とフォーム不足を見分けるのが先決
- プール内で心拍を意識した持久力づくりを少しずつ
息切れの正体は「体力不足」だけではなく、多くは「効率」の問題です。

体力ではなくて、効率…!あら、それは意外でした。

そこが今日のいちばん大事なところなんですよ。では、ひとつずつ詳しく見ていきましょうか。
50mで息切れする人に共通する「効率」の問題

「50mで息が上がる=体力がない」と決めつける前に、一度立ち止まってほしいことがあるんです。それは、自分が50m泳ぐ間に、どれだけ余計な力を使っているかという視点ですよ。

同じ50mでも、泳ぐ人によって消費するエネルギーは大きく違うんですよ。水の抵抗を強く受けて泳いでいる人は、見た目以上にエネルギーを消費しているから、50mのうちに息が上がるのは当然のこと。逆に、効率よく水を進んでいる人は、同じ50mでも余裕を持ってゴールするんです。

同じ距離でも、人によってそんなに違うんですね…。知りませんでした。

そうです。だから体力をつける前に、まずは「自分は50mで必要以上に消耗していないか」を確認するほうが、結果的に近道になることが多いんですよ。
息切れを生む3つの効率ロス

50mで息が上がる人によく見られるのが、次の3つですよ。

- 水の抵抗を受けすぎている:身体が水平でなく、足が沈んでいる、頭が上がっている、左右にブレているなど、抵抗が大きい姿勢で泳いでいる
- 呼吸のリズムが乱れている:息を吸うことに必死で、吐く時間が短い・吐ききれていない。呼吸のたびに身体が崩れる
- 力みすぎている:腕を強く回すこと、キックを強く打つことに意識が集中して、酸素消費が増えている

あら…どれも当てはまる気がします。

これらは「体力をつける」では解決しないんです。むしろ、体力で押し切ろうとすると、ますます効率が落ちる悪循環になりがちなんですよ。

水の抵抗の話は、こちらの記事にもう少し詳しくまとめていますよ → 水泳と水の抵抗。同じ距離を泳ぐにしても、抵抗を減らす意識があるだけで疲労感はずいぶん変わりますからね。
体力不足とフォーム不足、見分け方

わたしは体力なのか、フォームなのか、どちらなんでしょう…?

いい質問ですね。ここはちゃんと見分けたいポイントなんですよ。両方の対策を同時にやるのは大変ですし、優先順位を間違えると遠回りになりますからね。
フォームが原因のサイン

まず、フォームが原因のサインはこれですよ。

- 25mを泳ぎ終わった時点で、腕や肩が「だるい」というより「重い」感じがする
- 呼吸のたびに身体が縦に折れる、または左右に揺れる感覚がある
- 速く泳ごうとすればするほど、なぜか進まない
- 同じ距離を、隣のレーンの人より明らかに多くストロークを打っている

こういう感覚がある人は、まず体力よりフォームに目を向けたほうが早く変わりますよ。
体力(有酸素能力)が原因のサイン

一方、体力=有酸素能力が原因のサインはこちらですよ。

- フォームは安定しているが、息が上がるのが早い
- 50m泳いだ後、心拍が落ちるまで2〜3分以上かかる
- 陸上でも階段を上がっただけで息が上がりやすい
- 普段ほとんど運動していない

このタイプの人は、フォームの細かい改善より、低めの強度で長めに泳ぐ時間を増やすほうが効くんですよ。
多くの方は両方が混ざっている

あら、両方当てはまる気もします…。

実は、フォームと体力の両方が少しずつ足りていない、というケースが圧倒的に多いんですよ。その場合は、最初に「効率」を整えて、そのうえで持久力を積んでいくのが順番として自然です。効率が悪いまま長距離を泳ぎ込んでも、悪い動きを身体に染み込ませてしまうことがありますからね。
プール内でできる持久力の作り方

「持久力をつけよう」と思うと、つい「ノンストップで長く泳ぐ」イメージを持ちがちですよね。でも、まだ50mでバテてしまう人がいきなり200mや400mのノンストップに挑戦すると、フォームが崩れた状態で苦しさだけを味わうことになるんですよ。

そこでおすすめしたいのが、短い距離+本数という考え方ですよ。
「50m × 本数」で総距離を稼ぐ

たとえば、いきなり200mノンストップを目指すんじゃなくて、50mを4本(間に休憩を入れる)で同じ200mを泳ぐ方法があるんですよ。これなら、フォームを保ったまま合計距離を伸ばせます。具体例はこんな感じです。

- 50m × 4本(20〜30秒の休憩を入れる)
- 1本ごとに「フォームが崩れていないか」「呼吸が苦しくないか」を確認
- 4本目までフォームを保てたら、次回は休憩を少し短くする、または本数を5本に増やす

なるほど、これならいまのわたしでもできそうです!

そうです、これは初心者・初中級者の人が「50m止まり」から抜け出すための、もっとも現実的な階段の上り方なんですよ。25mがやっとで50m完泳を目指す段階の話は、こちらにまとめていますよ → 25m泳ぐだけで精一杯な人が50m完泳できるようになる方法。
休憩を「徐々に短くする」方向で進歩を作る

同じ「50m × 4本」でも、休憩30秒で泳げる人と、休憩15秒で泳げる人では、有酸素能力に大きな差があるんですよ。距離を伸ばすより、同じ距離を「より短い休憩」で繰り返せるかを指標にするほうが、進歩が見えやすいです。

30秒休憩で4本→25秒休憩で4本→20秒休憩で4本、というふうに休憩時間を少しずつ詰めていくと、結果として長く連続して泳げる土台ができていくんですよ。
低めの強度で長く泳ぐ時間も大事

本数練習と並行して、低めの強度で長めに泳ぐ時間も、有酸素能力の土台を作る上で欠かせないんですよ。これは「ゆっくりすぎるかな」と感じるくらいの強度で、フォームを大事にしながら25m・50mを淡々と繰り返すイメージですね。

怪我なく長く続けたい人は、低強度の持久力強化についてこちらの記事もあわせて読んでみてください → 低強度でも効果的な持久力強化トレーニング法。基礎持久力をつけるための運動強度の考え方は こちらの記事 にも整理していますよ。
心拍を意識した泳ぎ方

「持久力をつけたいなら心拍を意識するといい」と聞くんですけど、正直、自分の心拍がいまいくつかなんて分からなくて…。

そうですよね、それが普通ですよ。だからまずは数字に頼らず、感覚でとらえる方法から始めるのが取り組みやすいんです。
「会話できる強度」を体感の基準にする

有酸素能力の土台を作る強度は、ざっくり言うと「泳ぎながら、もし話しかけられたら短く返事ができるくらい」の感覚ですよ。息が上がりすぎていないけど、楽すぎもしない。長く続けてもフォームが崩れない強度ですね。

それと、50mで息切れする人は、最初の25mを「飛ばしすぎている」ことが多いんですよ。スタートで張り切りすぎると、後半に酸素が回らなくなって息が上がる。「最初の25mを少し抑える」だけで、50mがまったく違う体験になる人も多いです。

最初を抑えるだけで!それなら今すぐ試せますね。
心拍計を使うなら「上限の管理」から

もう少し踏み込みたい人は、心拍計付きのスマートウォッチを使うのも選択肢のひとつですよ。最近は防水で、プール内の心拍も計測できるモデルが増えているんです。

使う時のおすすめは、「目標心拍まで上げる」じゃなくて「上限を超えないように抑える」という使い方です。たとえば「心拍150を超えたら一度止まって落ち着ける」というルールを自分に課すと、力みすぎて潰れることが減りますよ。

はじめは数字の意味がよく分からなくても、毎回の練習で「自分が楽な強度の心拍はこのへん」「苦しくなる手前はこのへん」という体感が蓄積されていきます。これは持久力を伸ばすための、地味だけど効果的な手がかりになるんですよ。ただ、心拍計はあくまで補助です。数字に縛られすぎて感覚を無視するのは本末転倒なので、「数字と感覚のすり合わせ」くらいのつもりで使うのがちょうどいいですよ。

2026年5月時点でのおすすめ機種比較は、別記事に詳しくまとめていますよ。価格帯別・特徴別の選び方も含めて参考にしてみてください。→ 2026年5月版・水泳対応スマートウォッチおすすめ

主力推薦機種を1つだけ挙げるなら、Suica対応・AMOLEDディスプレイ・スイマーが必要な機能を一通り揃えた Garmin Forerunner 165 が、バランス型としてお勧めしやすいモデルですよ。
機能面・予算・iPhone派かどうかでさらに選択肢が分かれるので、3機種の比較は上記の詳細記事の方が分かりやすいかもしれません。
50m後半でバテない感覚は、もう少し先のステージ

50mで息切れする段階を抜けて、次に「50mの後半をどう持たせるか」というステージに進む人には、こちらの記事もおすすめですよ → 50mの後半でバテないための改善方法。今はまだ早く感じるかもしれませんが、いずれ役に立つタイミングがきますからね。
月単位で進歩を確認する記録の取り方

持久力って、毎日やっても変わっている実感がなくて、心が折れそうになるんです。

それも自然なことですよ。持久力は、毎日の練習で目に見えて変わるものじゃない。1日2日では何も変わらないと感じることのほうが多いんです。だからこそ、月単位で振り返る記録の習慣が大事になるんですよ。
記録するのは「結果」より「過程」

記録というとタイムだけをイメージする人が多いですが、50m止まりの段階では、タイムより「どこまで楽に泳げたか」を残すほうが意味があるんですよ。たとえばこんな項目です。

- その日泳いだ総距離
- 50m × 何本を、何秒休憩で泳げたか
- 泳ぎ終わった時の感覚(楽だった/苦しかった/フォームが崩れた)
- 息が上がった距離(50m地点でゼーゼーしたのか、75mまで持ったのか)

スマホのメモアプリでも、紙のノートでもかまいませんよ。1ヶ月続けると、自分でも気づかないうちに「先月より楽に泳げるようになっている」ことに気づける人が多いんです。
進歩は階段状に来る

持久力の進歩は、なだらかな坂じゃなくて、階段状にやってくるんですよ。「3週間ずっと同じ感覚だったのに、ある日急に余裕が出る」というパターンですね。

この階段の踊り場の時期に、「自分は伸びていない」と感じて挫折してしまう人が一番もったいないんです。記録があれば、踊り場でも「先月よりは進んでいる」という事実を確認できるから、続ける支えになるんですよ。

記録、さっそくつけてみますね!
大会後・練習後の回復力も持久力の指標

泳ぎ終わってからの回復の早さも、有酸素能力の指標になるんですよ。練習直後の疲労感が翌日まで残らなくなってきたら、土台ができてきているサインです。回復力の話はこちらにまとめていますよ → 大会での回復力を最大化!予選・決勝や複数種目出場時の疲労回復&エネルギー管理術。
無理をしない月単位の積み重ねが、結果として一番の近道

50mで息が上がる段階から抜け出すのに、特別な才能や、毎日プールに通うほどの時間は必要ないんですよ。週2〜3回でも、フォームと呼吸のリズムを意識しながら短い距離を本数で積み重ねていけば、3ヶ月後・半年後には「あの時は50mで限界だったな」と振り返る日が必ず来ますよ。

逆に、1日でも「今日は無理して長く泳ごう」と頑張りすぎると、フォームを崩したまま身体に染み込ませてしまって、伸び悩みの原因になることもあります。「今日はこのくらいで切り上げる」という勇気も、長く続けるためには大事な選択肢なんですよ。

毎回、自分の身体と相談しながら、その日その日のベストを更新していく感覚で取り組んでみてください。50mで息切れしていた自分が、いつのまにか100m・200mを淡々と泳げる自分に変わっていく過程は、水泳のいちばん面白い瞬間のひとつだと思いますよ。

なんだか、ワクワクしてきました。焦らず積み重ねてみますね。ありがとうございました、コーチ!🏊
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