大人になって水泳を始めた方や、久しぶりに再開した方から、「週1〜2回では上達しない?」「すぐ疲れる」「肩や腰が心配」という相談をよく受けます。
先に結論
泳ぎの練習を主役にして、家トレは姿勢と動作を支える補助にする
- 週2回・8分から:壁プッシュアップ、椅子スクワット、短い体幹運動を行う
- 泳ぐ前は軽く:肩・胸・股関節を動かし、水中ウォームアップへつなげる
- 効果は水中で確認:楽に泳げた距離、フォーム、痛み、翌日の疲労を記録する
陸トレだけで呼吸や水の感覚は身につきません。一方で、軽い筋力運動や可動域を使う練習は、陸上で安全に反復しやすいのが利点です。
週1〜2回でも上達できる?
上達の速さは、回数だけでなく、1回の練習で何を直すか、前回の感覚をどれだけ再現できるかで変わります。週1〜2回なら、毎回のテーマを一つに絞るのが現実的です。
- 今日は「息を吐く」と「力を抜く」だけ確認する
- 25mの本数より、崩れずに泳げた距離を記録する
- 家では水中で困った動作を支える部分だけ補う
競泳経験者を対象に複数の研究をまとめた報告では、水泳と筋力トレーニングを組み合わせた研究で泳力改善が報告されています。ただし、対象は主に経験者です。初心者へ同じ効果を保証する根拠ではないため、家トレの回数より水中の技術練習を優先します。
痛みがある時
肩の痛みを「硬いだけ」「筋力不足」と決めつけない
運動中に鋭い痛み、しびれ、力が抜ける感覚が出たら中止してください。胸の痛み、めまい、失神しそうな感覚、異常な息切れ、速い・不規則な動悸がある場合も運動を止め、医療機関へ相談します。
初心者向けの家トレ6種目
1. 肩をすくめて下ろす・小さな腕回し

肩をすくめて下ろす動作を5回。次に肘を曲げたまま小さく腕を回します。肩が上がりやすい方は、鏡で首と肩の間に余裕があるか確認します。痛みのない範囲で十分です。
2. 胸の回旋

椅子に浅く座り、腕を胸の前で組んで上半身を左右へゆっくり向けます。腰を強くひねらず、呼吸を続けて左右5回。クロールのローリングを完全に再現する運動ではありません。
3. 椅子スクワット

安定した椅子を壁につけ、座る・立つを5〜10回。キャスター付きの椅子は使いません。手を使ってもよいので、膝と腰に痛みが出ない深さで行います。
4. 壁プッシュアップ

動かない壁に手をつき、体を近づけて戻します。5〜10回。膝つき腕立てより負荷を調整しやすく、初心者の最初の選択肢に向いています。肩や手首に痛みが出る場合は行いません。
5. かかとタッチ

あお向けで両膝を曲げ、足裏を床につけます。頭と肩を少し持ち上げ、両腕を体の横へ伸ばします。上半身を右へ傾けて右手で右のかかとに触れ、中央へ戻ります。次に左手で左のかかとへ触れ、左右交互に繰り返します。左右5回ずつから。
6. ヒップリフト

あお向けで膝を曲げ、お尻を少し持ち上げて戻します。5〜10回。腰を反らして高さを競わず、お尻と太ももの裏を使う感覚があれば十分です。腰痛が出る場合は中止します。
最初の2週間は8分メニュー
| 順番 | 種目 | 最初の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 肩・小さな腕回し | 各5回 |
| 2 | 胸の回旋 | 左右5回 |
| 3 | 椅子スクワット | 5〜10回×1セット |
| 4 | 壁プッシュアップ | 5〜10回×1セット |
| 5 | かかとタッチ | 左右5回 |
| 6 | ヒップリフト | 5〜10回 |
楽にでき、翌日まで強い疲労や痛みが残らない状態が2〜3回続いたら、筋力種目を2セットへ増やします。時間を延ばす前に、呼吸とフォームが崩れていないか確認してください。
泳ぐ日と家トレの日の組み方
| タイミング | 行う内容 | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 泳ぐ直前 | 肩・胸・股関節を軽く動かす | 腕立てや外旋を限界まで行う |
| 泳いだ後 | 疲労が少なければ軽い筋力運動 | 痛い肩をさらに追い込む |
| 泳がない日 | 8分メニューを週2回から | 毎日同じ種目を限界まで行う |
| 体調が悪い日 | 休む、または散歩程度へ変更 | 予定を守るために無理をする |
陸トレが泳ぎにつながっているか確認する
陸トレの成果は、2〜4週間ごとにプールで確かめます。プランクの時間だけでなく、クロールで次の項目を確認しましょう。
- 同じ休憩時間で、フォームを崩さず泳げた距離
- 肩・腰・膝の痛みと、翌日の疲労
- 息継ぎで慌てる回数、力み、ストロークの乱れ
- コーチから受けた指摘を再現できたか
変化がなければ回数を増やす前に、家トレの種目が今の課題に合っているか見直します。呼吸や入水などの技術課題は、水中練習で直す必要があります。
チューブは最初から必要?
最初の2週間は道具なしで十分です。壁プッシュアップや椅子スクワットで動作を安定させてから、肩の外旋やプル動作へ軽いチューブを使うか判断します。
チューブを買う場合は、強さよりも軽い負荷でフォームを保てることを優先します。固定が外れる事故を避けるため、取り付け方法も確認してください。使い方はストレッチコードの使い方で整理しています。
まとめ
マスターズ初心者の家トレは、水泳練習の代わりではありません。水中で一つの課題を練習し、家ではその動作を支える軽い筋力と可動性を補う、という役割分担が基本です。
まずは週2回、8分から。できた回数だけでなく、水中のフォーム、痛み、翌日の疲労を記録しながら調整しましょう。
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