水泳ダイエットの成否を分けるのは、実はプールの中ではなく、プールを出た後の30分です。泳いだ後の「おなかペコペコ」にどう向き合うか。今日はダイエット目的でプールに通い始めたケイコさんの相談から始めます。

コーチ、聞いてください。泳いだ後って、ものすごくおなかがすくんです。この前つい、帰り道でメロンパンを2つ……。

あるある、です。まず安心してほしいのは、それはケイコさんの意志が弱いからじゃない。泳いだ後の強い空腹には、ちゃんとした理由があるんだ。
まず結論:泳いだ後の食べ方5か条
- 泳いだ後の強い空腹は正常な反応。前提にして作戦を立てる
- 先にタンパク質から食べる。甘い物・菓子パンから入らない
- 30分泳いだ消費は150〜260kcal程度。「ごほうび」はすぐ帳消しになると知っておく
- 空腹のまま泳がない。泳ぐ1〜2時間前に軽く食べておく
- 食べるタイミングより1日の総量と配分のほうが大事
なぜ泳ぐと、あんなにおなかがすくのか
アメリカの研究で、同じ運動を冷たい水(20℃)とあたたかい水(33℃)の中で行って、その後の食事量を比べた実験があります。結果は、冷たい水で運動したグループの食事量が44%も多かった。運動で使ったカロリーはほぼ同じだったのに、です。ふだんのプールは27〜31℃くらいなので、この実験ほど冷たくはありません。ただ、ふつうのプールで60分泳いでもらった別の実験でも、泳いだ日は運動しない日より約140kcal——おにぎり1個ぶんくらい——多く食べていました。冷水ほど極端ではなくても、泳いだ後の食事が増えやすいこと自体は、ふつうのプールでも実測されています。

44%!?プールの水って、体温よりだいぶ冷たいですもんね……。

そう。体が冷えると食欲のスイッチが入りやすい、というのが水泳ならではの事情なんだ。ランニングだと運動後はむしろ食欲が抑えられる人が多いんだけど、水泳は逆に働きやすい。だから「意志の力」で戦わずに、先に作戦を決めておくのが正解。
帳消しの算数を知っておく

体重60kgの人が30分泳いだときの消費カロリーは、ゆったり平泳ぎで約165kcal、しっかりクロールでも約260kcalです。一方で——
| つい食べがちなもの | カロリーの目安 |
|---|---|
| メロンパン1個 | 約350〜400kcal |
| ポテトチップス1袋 | 約330kcal |
| 甘いカフェラテ(トールサイズ) | 約200kcal |
| おにぎり1個 | 約180kcal |

メロンパン1個で、30分泳いだ分が消えてる……。

そういうこと。ただし「食べるな」じゃないよ。選び方と順番を変えるだけで、この算数は味方になる。
泳いだ後の正解:先にタンパク質
運動後の体は、筋肉の材料になるタンパク質をうまく使える状態になっています。目安は1回20〜40g。コンビニで揃うものだと、こんな組み合わせです。
- サラダチキン1個(タンパク質20g前後)——迷ったらこれ
- ゆで卵2個+無糖ヨーグルト(合わせて20g前後)
- 豆乳1パック+プロテインバー(20〜25g前後)
- おなかが空きすぎている日は、ここにおにぎり1個を足してよい

ポイントは「先に」タンパク質を入れること。血糖値が急に上がる物から食べ始めると、食欲が暴走しやすい。先にタンパク質でおなかを落ち着かせてから、必要なら炭水化物を足す順番だ。
泳ぐ前は何を食べる?
ちなみに「空腹のまま泳ぐほうが脂肪が燃える」という説を見かけますが、これは半分だけ本当です。空腹だと泳いでいる最中に脂肪を使う割合は増えます(27研究のまとめ)。ただ、4週間の比較試験では、空腹で運動しても食べてから運動しても、体脂肪の減りは変わりませんでした。体脂肪は1日の収支で決まるからです。ふらつきのリスクと泳いだ後の反動を考えると、軽く食べてから泳ぐことをおすすめします。
- 泳ぐ1〜2時間前に、消化のよい炭水化物を軽く(バナナ、おにぎり、カステラなど)
- 空腹のまま泳がない——力が出ないだけでなく、泳いだ後の食欲爆発の原因になる
- 直前に食べすぎると泳ぎづらい。「軽く」が合言葉
泳ぐ前の補食はレース向けに書いたこちらの記事の考え方がそのまま使えます。→ レース当日の補食ガイド
夜泳ぐ日の夕食はどうする?
仕事帰りに泳ぐ人は「夕食をいつ食べるか」問題が出てきます。おすすめは分食——泳ぐ前におにぎりなどの軽い炭水化物、泳いだ後にタンパク質と野菜のおかず、という分け方です。くわしくはこちら。
プロテインは必要?

やっぱりプロテインって買ったほうがいいんでしょうか?

食事でタンパク質が足りていれば必須ではないよ。ただ、泳いだ直後にサラダチキンをかじるのが難しい日の「持ち歩ける保険」としては便利。あと大事なのは、いわゆるゴールデンタイム神話に振り回されないこと。タイミングより1日の総量と配分が先だよ。
→ 水泳のプロテインおすすめ7選 / プロテインの「ゴールデンタイム」はもう古い?
食事を「記録」までしなくていい
食事のカロリー計算を毎日続けるのは、正直つらいものです。私のおすすめは、食事記録ではなく体重の記録。起きてトイレの後、同じ条件で毎日はかる。それだけで「運動と食事の帳尻が合っているか」は数字が教えてくれます。測る頻度が高い人ほどダイエットに成功しやすい、という研究の積み重ねもあります。

サラダチキンと体重計……今日の帰りに買います!

メロンパンの棚は、見ないで通過ね。
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