ドリルは地味な練習だから、つい「今日はもういいかな」と省いてしまったり、なんとなくこなして終わりにしがち。ケイコさんも、そんな一人でした。

コーチ、正直に言うと…ドリルってつまらなくて、続く気がしないんです。まじめにやった日も、泳ぎは全然変わらなくて。

正直に言ってくれてありがとう。そのモヤモヤ、すごく多い悩みなんですよ。

でも安心してください。ドリルそのものが悪いんじゃなくて、たいてい『取り入れ方』でつまずいているだけなんです。

えっ、取り入れ方…?やる種目が間違ってるのかと思ってました。
種目を増やす必要も、我慢して本数をこなす必要もありません。今日の練習からすぐ試せる、無理なく続く形を一緒に整えていきます。
まず結論|ドリルは“やりっぱなし”にしない
先に結論
ドリル25mのあとに、同じテーマでスイム25mを試す
- 課題は一つ:キャッチ、姿勢、キックなど、その日のテーマを絞る
- すぐ確認:ドリルで得た感覚を、全身の泳ぎで再現できるか試す
- 言葉は調整:「水を後ろへ送る」など、動きやすい合図を一つ選ぶ
うまくつながらなければ、ドリルの本数を増やす前に、種目・合図・速度を変えてみましょう。

3つだけならできそう…。でも、なんでそうなるのか理由も知りたいです。

いい質問ですね。理由をひとつずつ見ていきましょう。
ドリルが泳ぎに活きない3つの理由
理由1は、ドリルだけで練習を終えていること。ドリルで一部分の感覚をつかんだら、直後のスイムで同じ動きを再現できるかを確認します。

あっ…私、ドリルを何本かこなしたら「もう疲れたし今日はここまで」って、一度も全身で泳がずに上がってました。

それだと、せっかくつかんだ感覚が本番の泳ぎに反映されにくいんです。ドリルが泳ぎとつながらないまま終わってしまう。よくあるパターンですよ。
理由2は『1回に課題を詰め込みすぎている』こと。キャッチも姿勢もキックのタイミングも全部直したい気持ちはよくわかります。ただ、複数の合図を同時に追うと、何が泳ぎを変えたのか判断しにくくなります。まずは1回のドリルで確かめる課題を一つに絞ると、変化を比べやすくなります。

逆に、あれもこれもって思うと途中でしんどくなって、投げ出しちゃうんですよね…。

だからこそ「今日はこれだけ」と決めるほうが、ラクだし結果的に近道なんです。
理由3は、自分に合わない言葉へ意識を縛られていること。『ひじを曲げる』『手を回す』のような体への合図が役立つ人もいれば、考えすぎて動きにくくなる人もいます。合図は正解を決めつけず、泳ぎの変化を見ながら選びます。

えっ、体の動かし方を意識するのって、いいことだと思ってました。じゃあどこに意識を向ければいいんですか?

候補の一つが、体の部位ではなく「水を後ろへ送る」「頭の先へ進む」といった動作の効果へ意識を向ける方法です。

これは「外的フォーカス」と呼ばれる考え方です。体への合図と両方を試し、泳ぎやすさや動画の変化で選びましょう。
泳ぎに活かす取り入れ方
試しやすい方法は『ドリルとスイムをセットにする』ことです。ドリルの直後に同じテーマで全身を泳ぎ、感覚と実際の泳ぎをその場で比べます。

なるほど…ドリルで『あ、この感じか』ってつかんだら、忘れないうちにすぐ泳いでみるんですね。

そうです。感覚が残っているうちに本来の泳ぎで確かめます。再現できなければ、ドリルのやり方や合図を調整する材料になります。
2つめは『1回1課題に絞る』こと。たとえば「手のひらと前腕に水圧を感じる」と決めたら、次のスイムでも同じ一点を確かめます。できた・できないだけでなく、進みやすさ、ストローク数、動画なども判断材料になります。
3つめは、合図を試して選ぶこと。「ひじをこう動かす」という体への合図と、「水を後ろへ送る」「頭の先へ長く進む」という進み方の合図を比べ、泳ぎやすいほうを使います。
練習メニューへの組み込み例

具体的に、どう組めばいいんでしょう?イメージがわかなくて。

例を挙げますね。ドリルとスイムを交互にはさむのがポイントです。
| 組み方 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 最初の形 | ドリル25m → スイム25m × 2〜4セット | 同じ感覚をスイムで再現できたか |
| 再現できたら | ドリル25m → スイム50m | 距離が伸びても動きが崩れないか |
| つながらない時 | ドリル・合図・速度のどれか一つを変更 | 本数を増やす前に課題と種目が合っているか |

僕はまず、ドリルのあとに全身の泳ぎを入れて比べる形をよく使います。「気づいたことを、次のスイムで試す」と目的がはっきりします。

これなら今日からできそうです!本数はどれくらいがいいですか?

本数や距離は、その日の体力や目的に合わせて調整してください。決まった正解があるわけじゃないんです。
続けるコツ・注意点
最後に、無理なく続けるためのコツと注意点をまとめます。
- 本数より中身:だらだら20本より、課題を意識した4本のほうが活きることがあります
- 変化はゆっくり:動きが身につくには時間がかかります。1回で変わらなくても、あせらず続けてください
- 言葉は自分に合うものを:外的フォーカスの効き方には個人差があります。合わないと感じたら、しっくりくる言い方を探しましょう
- フォームの確認も併用:動画で見返したり、コーチに見てもらうと効果を確かめやすくなります

1回で変わらなくても、あせらなくていいんですね。なんかホッとしました。続けられそうな気がします。

そうですね。ドリルをやった本数より、次のスイムで何が変わったかを確かめることが大切です。変化がなければ、そのドリルが今の課題に合っているかも見直しましょう。

わかりました!今日の練習から、ドリルのあとにスイムを一本そえることから始めてみます。

それで十分です。次のスイムで再現できたか、できなかったかを一つメモしておくと、次回の練習にもつなげやすいですよ。
やることを増やすより、ドリルのあとに泳ぎを一本そえる。小さなひと工夫が、続く力になります。



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