
「もっと速く泳ぎたいから、陸上でのトレーニング(筋トレ)も取り入れたい」 そう考えて、自宅やジムでの筋トレを始めるスイマーは多いですよね。でも、ちょっと待ってください!
その「泳ぐ」と「鍛える」の順番、実はあなたの泳ぎの質を左右する大きな分かれ道になっているんです。今回は、スプリントパワーを磨きたい人から持久力を高めたい人まで、全てのスイマーが知っておくべき「トレーニングの最適な順番」を、最新の知見に基づいて解説します。
鉄則:一番手に入れたい効果を「最初」に行う
私たちの体は、その日「一番最初に入ってきた強い刺激」に対して最も敏感に反応します。
脳から筋肉への指令(神経系)がフレッシュな状態で、最も高い出力を出したい練習を最初に行う。これが、トレーニング効果を無駄にしないための大原則です。
1. スプリントパワー・爆発力を極めたいなら
【推奨する順番: 水泳(メイン) → 筋トレ(補強)】
「50mのタイムを縮めたい」「爆発的なスタートやターンを手に入れたい」というスプリンターの方は、「水泳が先」が絶対です。
水を捉える「感覚」を殺さないために
スプリントにおいて最も重要なのは、筋肉の大きさよりも「いかに速く、的確に水を捉えるか」という神経の働きです。
先に筋トレをして筋肉を追い込んでしまうと、筋肉が一時的に「重く、遅い」動きに慣れてしまいます。その状態でプールに入ると、水をつかむ繊細な感覚が狂い、脳が「効率の悪い動き」を学習してしまうリスクがあるのです。まずは最高の集中力でスピードを出し切り、その後に陸上で足りないパワーを補うのがベストな流れです。
2. 持久力・スタミナを底上げしたいなら
【推奨する順番: 筋トレ(補強) → 水泳(有酸素)】
「後半にバテない体を作りたい」「長い距離を楽に、速く泳ぎ続けたい」というスタミナ重視の方は、戦略が変わります。
筋力を底上げして「泳ぎの効率」を高める
持久力を高めるには、一度のかき(プル)で進む距離を伸ばし、エネルギー消費を抑える「効率の良さ」が必要です。
先に筋トレを行って筋力を刺激しておくことで、その後の水泳で「筋肉をしっかり使い切る」練習ができます。また、筋トレによって代謝が上がった状態で泳ぐことで、身体のベースアップを効率よく行えます。ただし、泳ぎのフォームが崩れるほどの激しい筋トレは厳禁。あくまで「泳ぎを支える土台作り」を意識しましょう。
失敗しないための「干渉」対策:効果を打ち消し合わないコツ
最新の研究では、筋トレと水泳をセットで行う際、内容によっては効果を打ち消し合ってしまう「干渉」が起こることが分かっています。これを防ぐプロの知恵を紹介します。
下半身の「使いすぎ」に注意
特に気をつけてほしいのが、下半身です。 限界までスクワットをした直後に、プールでハードなキック練習を入れるのは避けましょう。下半身は疲れが抜けにくく、パワーがぶつかり合って、どちらの練習も中途半端になりがちです。
- 解決策: 「今日は陸で下半身を鍛えるなら、水の中では腕(プル)を中心に練習する」といった具合に、刺激する部位を分けるのが賢いやり方です。
理想は「6時間」空けること
もし1日に2回練習できる余裕があるなら、練習の間隔を「6時間以上」空けるのが理想的です。「朝に泳いで、夕方に筋トレをする」といったスケジュールなら、体内のエネルギーが回復し、それぞれのトレーニング効果が最大限に引き出されます。
競技力向上のための実践チェックリスト
あなたの目標を達成するために、今日のメニューをこうチェックしてみましょう。
✅ 今日のメインテーマは決まっているか?
→パワー向上なら水泳が先、筋力底上げなら筋トレが先
✅ スプリント練習の日は、先に重い負荷をかけすぎていないか?
→水の感覚を優先する
✅ 下半身の強度が重なりすぎていないか?
→怪我予防とキックのキレを維持する
✅ 「泳ぎの質」が落ちるほど陸で追い込んでいないか?
→あくまで水泳が主役!
まとめ:戦略的な順番が、自己ベストへの近道
トレーニングは、ただ「やる」だけでなく「どの順番でやるか」を考えることで、その価値が何倍にも高まります。
- 爆発的なスピードが欲しいなら「水泳が先」
- 後半に強いスタミナが欲しいなら「筋トレが先」
- 最高の効率を求めるなら、部位を分けるか時間を空ける
自分の体が今、どんな刺激を必要としているのか。それを論理的に考えてメニューを組めば、あなたの泳ぎは必ず進化します。
「今の自分のタイムを縮めるには、具体的にどんな陸トレを組み合わせるのがいい?」と気になった方は、いつでも声をかけてください。あなたの今のレベルに合わせた、最も効率的なトレーニングプランを一緒に組み立てていきましょう!



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